『停電の効能についてのムスリム同胞団の説明』

2013年5月27日

 エジプトではデーゼル・オイルの不足が目立ち、それがあらゆる分野に、影響を及ぼしている。例えば、農民は農機具を動かせない状態が起こり、生産が減少するだろう、と予測されている。

 運送業者もしかりで、定期便を減らしたり、貨物の輸送の頻度を、減らしているようだ。つい最近では、通勤用の乗り合いのミニバス・タクシーが、営業を停止している。

 もちろん、デーゼル・オイルの不足は、発電にも影響を及ぼしているようだ。カイロをはじめとした各都市部や農村部でも、デーゼル・オイル不足から発電量が限界点に達し、停電が頻発しているようだ。

 当然のことながら、こうした状態には庶民の間に、不満が膨れ上がる。それをどうかわすかが、ムスリム同胞団政権の、腕の見せ所であろう。

 最近、カイロで語られている、ジョークとも真剣な意見とも受け止められる、次のような話がある。

:停電になるとローソクの灯りを囲んで、父親のもとに家族が集まって、夜の時間を過ごすから、家族関係が良くなる。

:エアコンが止まり扇風機が回らなくなると、暑さの意味がよくわかるようになる。

:階段を足で上がり降りすると、血液の流れが活発になり健康になる。

:停電になると新聞などを読まなくなり、糖尿病の解消に役立つ。

:停電は目で見えないことから、触ったり聞いたりする能力が高まる。

:停電になるとマッチやローソクの消費が増え、地場産業を活性化させる。

:停電になるとアッラーに許しを請い、電気が回復するとアッラーに感謝するので信仰が深まる。

   何やら冗談めいた話だが、ムスリム同胞団にしてみれば、庶民の感情が爆発しないよう、暴発防止策として真剣に考えた結果、発表した停電認識の指導要領であろう。

アッラーへの信仰深い エジプトの住民は、それでも停電下の暑さを、やり過ごせるかもしれないが、私のような来訪者にはつらいだろう。カイロ出張の滞在予定は、612日から616日だ。今から暑さが身体に、侵入してくるような気がする。

部屋の暑さ、エレベーターが止まり階段の、徒歩による上り下り、冷たい飲み物のサービスがない状態、いまから『アーーッ』と叫びたい気分だ。