重い腰を上げて、イランの大統領選挙に挑もうと思ったラフサンジャニ師は、ハメネイ師側の策略で、立候補者名簿から外されてしまった。彼と並んでアハマド・ネジャド大統領の後継者である、マシャエイ氏も候補者名簿から外されている。
そして発表された立候補者名簿を見ると、8人の候補者の全てがハメネイ氏寄りの人物であり、その半数は比較的穏やかな人たちと言われている.アレフ氏、ガラージ氏、レザエイ氏、ローハーニ師らがそれだ。
しかし、彼らが政権を担当しても、ハメネイ氏や革命防衛隊の意向が、強く出るであろうことから、大きな変化は期待できまい。これまでと変わらない政治が続くということは、イランの経済状況がますます悪化していき、孤立を深めていくということではないのか。
ラフサンジャニ師が78歳という高齢を押して、今回大統領に立候補したのは、そうしたイランの国内外情勢を、正確に把握していたからであろう。
ラフサンジャニ師は最初沈黙を保っていたが、ついに重い口を開き始めた。開き始めたというのは、今後も彼が重要な発言をする、可能性があるということと、彼の言葉がイラン国内に変化をもたらす、可能性があるという意味だ。
ラフサンジャニ師はイランがいま直面している、巨大な経済問題を何とか解決したいと望んでいる。その原因は、政府の運営の仕方に問題があり、無知と、能力不足であり、経済制裁にあると語っている。
ラフサンジャニ師は『いかなる陰謀によっても、イランが直面している現在のような、酷い状況は生まれまい。』とまで語っているのだ。それは外交のミスであり、緊張緩和を西側諸国と図り、経済再建を国民一致でやらなければならない。」と語っている。
彼ラフサンジャニ師が言うように、イランを運営する人たちは『自分たちが何をやっているのか分かっていない』のかもしれない。
このラフサンジャニ師の厳しい発言内容を、ハメネイ師側では『ラフサンジャニ師はハメネイ師が考えていたと同じことを語った。心を落ちつけて、国民が統一して国難を切り抜けようということだ。』といったニュアンスに変えて報じている。
ラフサンジャニ師はこの後、沈黙を再度繰り返すのか、あるいは二本目の矢を放つのか、まさに見どころだ。どちらかと言えば、第二の矢が放たれるのではないか、と思われるのだが。しかし、それは相当の破壊力をもつであろうから、イラン国内は混乱するということではないか。