来月の14日に予定されているイランの大統領選挙は相当混乱が予想されそうな雲いきになってきた。元愛統領のラフサンジャニ師が立候補したこと自体が意外なことなのだが、それを元大統領のハタミ師が支援するといって自身は立候補を取りやめたからだ。
ラフサンジャニ師は宗教指導者の立場にあるものの、同時に現実主義者であり、世俗派改革派の国民の間でも、支持が広がっているようだ。そのことはイランの最高権威者であるハメネイ氏にとっては、すこぶる不愉快なことであろうし、ラフサンジャニ師が当選した暁には、ハメネイ氏の立場が不安定化するかもしれない。
当然のことながら、ラフサンジャニ師が立候補を固めると、ハメネイ氏サイドからは79歳の高齢を理由に、立候補すべきではない、という意見が出ている。しかし、ハタミ氏はラフサンジャニ師の立候補は、改革派を勇気づけるものであり、立候補すること自体が、ラフサンジャニ師の自己犠牲だ、と称賛している。
ラフサンジャニ師は国際的視野を持ち、国内問題も十分に承知している人物、という評価がもっぱらであり、もし当選した場合には、国際政治と国内政治において、大きな変化がイランにもたらされるのではないか。
ラフサンジャニ師はアメリカとの間に、地下水脈を持つ人物と噂されてきていただけに、彼が大統領に当選した場合には、危機的状況にあるイランとアメリカとの関係を、一気に変革させるかもしれない。
イランの大統領選挙委員会は、アハマドネジャド大統領の後継者であるマシャエイ氏の立候補を認めなかった。同じようにランカラーニ氏も、候補者として認められなかった。残る立候補を認められた候補者は、10人強ということのようだ。
ハメネイ氏側は大統領選挙への、立候補受付期間を5日ほど延長したが、それが今後選挙にどう影響を及ぼすのか、興味深いところだ。