ヨルダン政府はイスラエルの無人機の領空通過を、認めたという報道がなされた。最近のものでは、イランのプレス・テレビが報じたものであり、その前には、フランスのル・フィガロ紙が伝えている。
これらの報道によれば、今年の3月にオバマ大統領がヨルダンを訪問した折に、オバマ大統領がヨルダンのアブドッラ―国王に対して、イスラエルの無人機の領空通過を認めるよう、要請したことに基づいている、ということのようだ。
イスラエルはヨルダン政府の決定によ、りヨルダン領空に対し、イスラエル南部のネゲブの基地からヨルダン領空を通過し、シリア領空に入れるようになる。もう一つのルートは、ヨルダンの首都アンマン市上空を、通過するルートだということだ。
結果的に、イスラエルの無人機はシリアのいかなる場所も、攻撃が可能になったということだ。イスラエルはヨルダン領空の通過許可を得たことにより、以下のことができるようになる。
:シリアの内情偵察。
:シリア内戦のモニタリング。
:シリアの産業施設への攻撃。
:シリアの軍事施設への攻撃。
:シリアのインフラへの攻撃。
当然のことながら、シリア政府は今回のヨルダン政府の決定を受け、激しく非難している。4月4日には『火遊びはやめろ。』と語っている。
シリアの内戦では、トルコサウジアラビア、カタールなどが、積極的にシリアの反政府派を支援しており、その支援内容は武器や資金だ、と報告されている。
EUが最近出したシリア北東部の石油輸入禁止排除決定についても、同様の目的あらであろう。シリアの北東部には油田地帯があり、平常時には40万バーレル ・日の原油が生産されていた。それが現在では13万バーレル・日程度となっているが、シリア政府の国家収入の、25パーセントを占めているといわれている。
最近では、その油田地帯を反政府グループが支配しており、EUは反政府側に代金を支払い、シリアの石油を輸入する方針を決定したようだ。その理由づけは、一般国民を惨状から救う、という人道的な目的だということだ。
このことも反政府派に資金が渡るようになるわけで、明確なアサド体制への敵対行為、ということになろう。