イラクで近く地方選挙が実施されるが、いまイラク国内で話題になっているのは女性候補たちだ。彼女たちはスカーフをかむっている候補、かむっていない候補といろいろのようだが、その候補者の美人度が、男性たちの間では、話題になっているようだ。
アラブの男性は女性の髪に、異常なまでの興奮を覚えるようで『何々候補の髪がきれいだ。』『何々候補の髪形がきれいだ。』と大騒ぎになっているようだ。
当然のことながら、女性候補者のポスター写真を、携帯電話で写し、友人たちの間で交換しているようだ。
一般的には美人候補の人気が高いわけだが、女性候補が有利なのは、それだけではなさそうだ。女性には男性と違って清潔なイメージがある、とイラクの男性たちは考えているようだ。男性政治家の汚職ぶりを見ていれば、無理からぬことであろう。
加えて、イラクの女性には高学歴者が少なくない。あるタクシード・ライバーは『何々候補は美人だ。そのうえドクターを持っていてバグダッド大学の教授でもある。彼女は清潔そうだから問題ない。前回は男性の政治家に投票したが、彼らは何もやってくれなかった。今度は女性の候補者に投票するよ。』と語っていたとアルハヤート紙の記者は伝えている。
もちろんそうだからといって、イラクの議員の大半を、女性が占めるようなことにはならないだろうが、相当増えることは予測できそうだ。それもいいだろう。アメリカ軍のイラク侵攻以来、今日なおイラク国内ではテロが続いており、毎日何十人という死者が出ている。
そうした中で、美人の女性議員が登壇し、『イラクを良くしましょう。イラクを平和な国にしましょう。』と訴えることは、それなりの社会変革の機会になろう。
問題は、そうなると他の男性議員たちの関心が、女性議員に向かい、議論が散漫になるのではないか、という笑えない事実だ。アラブの男性はイラク人ばかりではなく、ことのほか女性に対する関心が強いのだ。
議会は車を運転しながら討議するわけではないので、交通事故にはならないだろうが、自説を女性議員がいる前で、他の男性議員に非難された時の反応は、今迄よりも激しくなるのではないか。
イラクの議場が、プロレス会場並みにならないことを祈るのみだ。