チュニジアのムフテイであるオスマン・バッテーフ師が、「シリアの戦闘に参加することはジハードではない。」と明言した。これはいままで何処かの国のムフテイが、言い出すべき言葉であったと思う。
2011年以来続くシリアの内戦には、世界中からジハーデストと称するテロリストが参加し、既にシリアの国民同士の、闘いではなくなってきている。彼らは外国の支援で、月に600ドルから900ドル程度の、給与を受け取っているということだ。つまり、シリアの戦闘に参加している、ジハーデストと称するテロリストたちは、実は戦闘を生業とする輩なのだ。
このことには、イスラム諸国の多くの人たちが気付いていたろう。従って、イスラム諸国の宗教的最高権威の地位にいるムフテイ諸氏は、『シリアの戦闘に参加することはジハード(聖戦)ではない。』と宣言すべきだったのだ。
しかし、自国内のイスラム主義者による、暗殺や非難を恐れ、彼らはそのことを口にしなかったのだ。イスラム教徒がイスラム教徒を捕まえて首を切り落とす、イスラム教徒がイスラム教徒を捕まえて拷問する、イスラム教徒がイスラム教徒を捕まえて多数を殺害することは、イスラム法(シャリーア)では認められていないのだ。
今回チュニジアのムフテイは『ムスリムがムスリムを殺害することはいかなる条件下でも認められていない。』と語った。そして『ジハードの名の下にシリアに向かい、戦闘に参加するのは馬鹿げており、洗脳させた連中だ。』とも語った。
男たちばかりではない。チュニジアからは女性も、シリアのジハードに参加しているというのだ。これはセックス・ジハードと呼ばれたり、結婚ジハードと呼ばれたりしている。
チュニジアの16人の若い女性がこのセックス・ジハードの名の下に、シリアに送り込まれ、戦闘員の性処理をさせられたり、臨時婚の相手にさせられているようだ。アラブの幾つかの国では、戦死者のために結婚式を行う、葬儀結婚が行われているが、それに準じたものであろうか。
私がいま構想しているのは、このようなことを無くすための、国際的なイスラム学者間の協議会であり、何がジハードであり何がジハードではないのかを、判断する組織の結成だ。チュニジアのムフテイは偶然にも、同じ時期に同じことを考えていたということであろう、大歓迎だ。