『アサド大統領西側が付けを払う時が来ると警告』

2013年4月18日

 シリアの内戦が始まって、すでに2年以上の時が経過している。その間に犠牲になったシリア国民の数は、すでに7万人を超えていると報告されている。一体この内戦が、最終的に何をもたらすのか、非常に疑問になってきた。

 反政府派の勢力は、シリア国民によって結成されたFSA(シリア自由軍)だけではなく、アルカーイダの関連組織だと、つい最近宣言したヌスラ組織と、他の過激派イスラム組織もいる。それ以外にも多くの過激派がシリア国内に入り、戦闘に参加している。

 結果的に、誰が何を目的として戦闘が展開されているのか、分からない状態になっているのではないか。そして、これらの多国籍過激集団には、外国のスポンサーが付いており、武器と資金が提供されているのだ。

 これらの諸組織に対し、強硬に対応を続けているシリアのアサド体制は、いまだに十分な余力を、残しているように思われる。シリア内戦はいつ終わるのか、その後どうシリアはなっていくのか、誰にも予測できなくなっているのではないか。

 そうした混沌の中で、シリアのアサド大統領が、シリアのアフバール・テレビ(ニュース・テレビ)とインタビューを行った。そのインタビューの中で、アサド大統領が口にしたことは、今後の中東世界全体に、ある示唆を与えたのではないかと思われる。

 アサド大統領は「西側諸国はやがて付けを払わせられる時が来る。それはヨーロッパでありアメリカだ。』と語ったのだ。同時にテロリストがシリアに侵入することに、便宜を供与しているヨルダンも、大きな付けを払わせられる、とアサド大統領は予測した。

 アメリカはリビアのカダフィ体制を打倒するために、アルカーイダのベルハッジを起用している。もちろん、彼一人が加わったのではなく、彼の仲間も加わっていたのだ。その後のリビアは、武装組織が乱立し戦国時代を思わせるような、混乱状態が続いているのだ。

 リビアの革命戦闘時以外にも、アメリカはソ連軍追放を目的として、アルカーイダなどムジャーヒデーン(ジハード戦士)を使い、資金と武器を与えていた。それが今では世界中に展開しているのだ。

 アサド大統領が指摘しているように、シリアに集まった各種の過激派組織のメンバーは、次にはヨルダンやそれ以外のアラブ諸国に、流れ込んでいくのではないか。そのことは十分にありえよう。

 アサド大統領はインタビューの中で、まだ平和的な解決の道が残されている、と語っている。アメリカは彼の発言を無視し、シリアにも軍事介入しようというのだろうか。その軍事介入の口実は『シリアが化学兵器を使用した。』という決まり文句であり、攻撃は主に無人機で行われるのであろうか。そうだとすれば、いたって単純なパターンではないのか。