ムバーラク元大統領の裁判が開廷したが、5分もたたずに閉廷した。それは裁判長が、ムバーラク元大統領は病気であり、刑務所の病院に早急に帰すことを、主張した結果だった。そしてムバーラク裁判は、高裁に差し戻されることになった。
この一連の動きは、官僚とムスリム同胞団との関係が、極めて微妙な段階に入っていることを、示しているのではないか。官僚側は面従腹背というか、ムスリム同胞団政府の命令を、法律を盾に拒否する姿勢のようだ。それはあらゆる省庁が、ほぼ足並みをそろえているのではないか。
他方、エジプトから意外なニュースが、流れてきている。それは、ムスリム同胞団のモルシー大統領に近い人物が、虐待容疑で検挙されそうに,なっているというものだ。これまでムスリム同胞団と、反政府派との暴力衝突は、何度も起こっているし、現在も継続されている。
今回検挙の方向に向かい始めているのは、ナイル・デルタの一地域であるダマンフール地区での、出来事が原因になっている。そこで、ムスリム同胞団のメンバーである、ムスタファ・アルホーリー氏と、ムハンマド・アブドルラーデイ氏が、反対派に対して暴力を振るったことが、問題となって取り上げられたのだ。
この件に関して、ムスリム同胞団のスポークスマンである、アハマド・アーレフ氏は、コメントを、避けている。ムスリム同胞団にしてみれば、何とも説明のしようがない問題だけに、口が重くなって当然であろう。
反対派への暴行事件は、3月の17日、19日21日に起こっているが、それらはいずれも、ムスリム同胞団支持者側と反政府側の、衝突時に起こったものだ。
これまでエジプトでは、大統領府に対する抗議デモが継続しており、大統領府を守ろうとする、ムスリム同胞団メンバーと、世俗派との間では、何度も暴力衝突が起こっている。同様にムスリム同胞団の本部に対しても、世俗派がデモをしかけており、ここでもムスリム同胞団メンバーと、世俗派との衝突が起こっている。
ムスリム同胞団側にしてみれば、幹部メンバーの安全確保と、施設の保護の目的であろうが、それだけの説明では、庶民は納得すまい。