『シリアのアサド大統領が開き直る』

2013年4月 8日

 

 ここに到って、シリアのアサド大統領が、開き直りともとれる発言をした。それは、トルコのTVニュース社に対して行ったものであるだけに、微妙なニュアンスが、含まれていると思えるのだが。

 述べるまでも無く、トルコ政府はシリアの反政府側を支持しており、アサド体制打倒に最も強力に関与している国だ。そのことは、アサド大統領も良くわきまえている。

 トルコばかりではなく、湾岸のサウジアラビアやカタールも、アサド体制打倒に動いているわけであり、アサド大統領はそのことも十分承知している。彼は本心、これらの国々に対して、激怒していることであろう。

 そこで、アサド大統領がトルコのテレビ局とのインタビューの中で、すごい発言をしたのだ。

それはシリアで起こっていることが、結局は他のアラブの国々でも起こることになり、アラブ諸国では、押しなべてドミノ現象が起こり、次々に政権が打倒されていく、と言ったのだ。

 そのようなドミノ現象から、自国の体制と、自国を救いたいと思うのであれば、シリアのアサド体制を打倒することよりも、支持することを考えるべきだ、ということであろう。

 実は湾岸諸国でも、体制が打倒されるのではないか、という不安から各国が、極めて緊張した状態になってきているし、そのことが過剰な国民に対する、監視と対応をさせてもいるのだ。

 既に報告したように、サウジアラビアでは今年に入り、斬首刑が増えているし、逮捕者も増えている。アラブ首長国連邦でも、ちょっとした動きが反体制とみなされて、大量の逮捕が起こっている。

 オマーンも同様であったが、オマーンはその後対応を和らげることにより、国内の緊張を緩和させているようだ。クウエイトもビドーン(無国籍居住者)対応や、シーア派国民に対する対応で、困惑しているようだ。

 シリアのアサド大統領の今回の発言は、そうしした各国事情を、十分承知した上でのものであったろう。