シリアの内戦が続いて久しい、既に2年の時が経過している。その結果、シリアの主要都市は戦場と化し、ビルは崩壊し銃弾が飛んでくるために、住民は近隣諸国に難民として逃れている。シリアではこの内戦で、既に7万人以上の人たちが、犠牲になっているのだ。
シリアから毎日、ヨルダンに逃れてくる難民の数は、2000人を超えているということだ。現在、ヨルダンに難民として逃れてきているシリア人の数は、385000人だというのだ。周辺諸国へ逃れたシリア難民の合計数は、120万人に達している、とUNRWA(国連難民機関)は報告している。
ヨルダンのザアタリ・キャンプには、15万人のシリア難民が収容されているが、国連難民基金からの援助額は、1200万ドルでしかないというのだ。ザアタリ・キャンプで必要とする水の量は、一日350万リットルにものぼり、それが今後、夏季に入れば増加することは、誰にも分かろう。
中東の内戦や貧困、武力衝突が原因で、食べ物にも事欠く人たちは、あちこちで増えている。エジプトはアラブの春革命後の経済不振で、多くの人たちが失業と生活苦に追い込まれており、今年の夏ごろにはパンすらも、十分に手に入らなくなるのではないか、と懸念されている。
パレスチナのガザでも同様に、国連難民機関の活動が、ガザからのイスラエルに対するロケット攻撃で始まった、パレスチナとイスラエルとの報復の繰り返しで、危険になったために、支援活動を停止する、と言い始めている。
ガザの住民数も150万人に及んでいるだけに、消費される食料は膨大な量であろう。それを国連難民基金でまかなうのには、厳しいのではないか。世界はいま、経済苦境時に入っており、援助金が増えることは期待できまい。
アラブ諸国のなかで、経済的に余裕があるのは、述べるまでも無く湾岸諸国だが、これらの国々は、自国優先政策が目立ってきており『アラブは一つ』という古いフレーズは、通用しなくなってきている。
それどころか、湾岸のアラ諸国は自国の資金で、他のアラブの内紛を、煽っている傾向さえ見受けられる。現在激戦が続いているシリアは、その典型的な例であろうし、パレスチナも同様であろう。
そうした国家間の対立の犠牲になって行くのは、何も言えない大衆なのだ。欧米はこの状態を放置し続けるのだろうか?そもそもアラブの内紛は、誰が火をつけたのであろうか?冷静に考える時期であろう。