トルコのクルド労働党に近い、クルド人の政党であるBDPが、「数日中にPKKがトルコ領土内から、イラク・クルド地区のカンデール山地帯に、撤収する。」と発表した。これは今年初頭』から始まった、トルコのMITのトップであるハカン長官と、PKKのトップであるアブドッラー・オジャラン議長との、交渉の結果であろう。
アブドッラ―・オジャラン議長とハカン長官の交渉の後、BDP幹部がアブドッラー・オジャラン議長が収監されている、イムラル島に出向き、会談をした後に出された、幾つかの報告ののちに、実現にこぎつけたものだ。
BDPの発表によれば、今週中の数日先には、PKKメンバーのトルコ領土からの撤収が、始まるということだが、それがスムーズに進めば、1984年以来続いてきた、トルコにとって最も頭の痛い問題が、解決の方向に明確に、進むことになる。
今回の状況に至るまでには、PKKの安全な撤収のための、交渉も行われてきている。その中には、PKKがあまり大袈裟ではなく、静かに撤収したほうが、双方にとってプラスだ、といったことまで盛り込まれていた。
今回のPKKの撤収か゛完了した後には、当然、トルコとクルド(イラク、シリア、トルコに居住するクルド人)の問題をどうするか、ということが話し合われよう。トルコに居住するクルド人については、トルコ国民となることを受け入れた者は、そのままとどまり、それに反対する者は、イラクあるいはシリアのクルド地区に、移住することになろう。
そして、イラク北部に居住するクルド人は、より一層明確な形の、クルド自治区住民となり、イラク中央政府との間に軋轢が、生じるものと思われる。同様に、シリア北部に居住するクルド人も、イラクのクルド人と同様に、高度な自治権を要求するように、なるであろう。
そしてその後に、シリアとイラクのクルド人は、何らかの形の共同体を結成し、イラク及びシリアからの、分離独立へのステップを、踏むのではないか。この新生のクルド国家が誕生するまでには、まだ当分の間、時間がかかろうが、方向はそちらに、向かっているのではないかと思われる。
この新生クルド国家の誕生は、トルコからの軍事経済産業面での、支援を必要とし、他方、トルコはクルド国家に対し、エネルギーを依存することになろう。その将来に向けた秘密合意の基礎は、すでに出来ているのではないか。
そうであるとすれば、ローザンヌ秘密合意の期限が切れる、2023年後のトルコ・クルド地域の発展の可能性が、期待出来そうだ。トルコはいま、何事につけいい方向に向かって、状況が動いているのではないか。時の勢いとは恐ろしいものだ。日本もそうありたいものだ。