『6月はイランの大統領選挙・誰が立候補』

2013年4月19日

  614日はイランで、大統領選挙が行われる予定になっている。この大統領選挙で、いまのうちから明らかなことは、現在の大統領であるアハマド・ネジャド氏のような、民間人ではなく、確実に宗教学者が立候補し、そのうちの誰かが、当選するということだ。

 アハマド・ネジャド大統領は行政面で、多くの問題を生み出した。イラン国内のインフレ、イラン通貨の暴落、対外関係での失敗などだ。彼自身に及ぶ金に絡んだスキャンダルもあり、側近の一人が逮捕されたし、彼自身もイラン革命始まって以来という、大統領に対する追及が、国会で行われてもいる、

 したがって、アハマド・ネジャド大統領が自分の息のかかった人物を、大統領候補に立て、裏から権力を握ることは、不可能であろう。彼の傀儡を候補者にしようとしても、それはすぐばれて、候補者リストには載せてもらえまい。

 そこで、確実に大統領に立候補できる人物は誰かというと、以前に大統領職を務めたハタミ師や、ラフサンジャニ師の名前が浮かんでくる。これらの人物であれば、イランの最高権力者であるハメネイ氏も、反対はしないだろう。

 しかし、ラフサンジャニ師は行政面で、ハメネイ氏とは意見が対立しているということだ。ラフサンジャニ師は現在の状況では、革命防衛隊が政治経済両面で力を強くしており、民間企業の自由が、奪われているということだ。革命防衛隊はイラン国内のインフラ整備の仕事などを、大量に受注しているからだ。

 ラフサンジャニ師は、ハメネイ師の側からこの点についての、妥協はあり得ないとし、したがって、ハメネイ師の路線で行政を行わなければならないことは、受け入れられないということだ。ラフサンジャニ師は現段階では、次期大統領選挙には、立候補しないつもりのようだ。

 もう一人の元大統領で、今回選挙の大統領候補と目されている、ハタミ師はどうであろうか。彼の考えはハメネイ師とほぼ同一であり、これといった相違点はないようだ。したがってハタミ師はすでに、立候補の意思があることを、宣言している。

 ハタミ師の大統領就任によって、彼の柔らかい物腰とスマイルにより、西側諸国首脳は丸めこまれるのであろうか。いずれにしろ、ハメネイ氏も現在イランの経済を良くし、対外関係の改善を図りたいだろうから、ハタミ師は適役だと思っているかもしれない。

それ以外の大統領候補としては、ゴラム・アリ・ハダダード・アデル師や、ムハンマド・バーキル・カリバフ師、ムハンマド・レザ・バホナール師の名前が挙がっているようだ。もちろん、アハマド・ネジャド大統領と幾度か対立した、ラリジャニ氏も大統領選挙に、立候補する可能性のがあろう。