『ガッサーン・ヒット氏の反シリア首相就任に反発』

2013年3月25日

 アメリカでビジネスをして成功し、巨万の富を得たシリア人が、イスタンブールで開催されたシリアの反政府会議に出席した。彼の目的はこの会議で反政府側の首相に就任することだったのだが、どうも彼のこの計画は反対があり、うまくいかないのではないかという懸念が、湧いてきている。

 彼の名はガッサーン・ヒット氏で、アメリカ国籍を有している。エレクトロニクス関係で成功した人物のようだが、彼の反政府側首相就任は、今年の318日にトルコのイスタンブールで開催された、シリア国民連帯会議で決められた。

 49人の中央執行委員のうちの、35人が彼に投票したのだから、問題はなさそうなのだが、反政府側の国民連帯会議の公式スポークスマンである、ワリード・アルブンニー氏が反対し会議場から出ている。

 彼以外にも、幹部12人もガッサーン・ヒット氏が首相に選出されると、反対して会員資格を停止している。どうやらこうした幹部の反発を受け、ガッサーン・ヒット氏の首相就任は、スムーズにいかないようだ。

 何が彼の首相就任の邪魔になっているのだろうか。一説には、ガッサーン・ヒット氏がムスリム同胞団によって、支持されている人物だ、という情報も流れている。そうなると、たとえシリアの革命が成功したとしても、その後のシリアの政治は、ムスリム同胞団によって牛耳られることになり、エジプトの二の舞になる可能性があろう。

 シリアではムスリム同胞団の勢力は、決して小さくないのだ。アサド父子二代に渡り、弾圧を受け続けてきてはいるが、盤石な組織が維持されているのだ。彼らが革命の成功により、表面に姿を現した時、シリアはムスリム同胞団が主導する国家に、なる可能性は高い。

 ムスリム同胞団以外には、これと言った主要な政党や、国民組織が存在しないからだ。エジプトの場合もムスリム同胞団の議員選挙と、大統領選挙における勝利は、ムスリム同胞団の組織力の勝利だった。しかも、ムスリム同胞団には資金があるのだ。

 今回、ガッサーン・ヒット氏が首相に就任できないとすれば、それはシリアにとって好都合なことかもしれない。少なくとも、当分の間シリア国民は、世俗的自由な雰囲気の中に、いられるアkらだ。