『エジプト軍の将校服をめぐる疑問』

2013年3月19日

 意外な情報が伝わってきた。それはエジプト軍の将校用の服地が、地下トンネルを通って、ガザに密輸されるという話だ。当然その生地は軍服に仕立てられ、誰かがそれを着るということであろう。ご丁寧にもその生地はカーキ色と、白色の二種類だったということだ。

 もし、このことがガザの人物によって行われたとすれば、それはハマースがエジプト軍将校の服装で、エジプト国内で何かを企てる、ということであろうか。しかし、現在のエジプトとガザの関係を考えると、ありえなそうに思えるのだが。

 エジプトの政権はムスリム同胞団の、自由公正党が与党であり、ガザの権力はムスリム同胞団の結成した、ハマースが握っている。したがって、ハマースがエジプトの政権を困らせるようなことは、しないと考えるのが普通であろう。

 しかし、他方では必ずしもエジプトとハマースの関係に、問題ないわけでもなさそうだ。それはエジプト政府、なかでもエジプト軍がエジプトのシナイ半島から、ガザに通じる密輸用の地下トンネルを、片っ端から破壊しているということがあるからだ。

 結果的に、ガザの経済は相当落ち込まざるを得なく、なっているということであろう。このため、ハマースはエジプトの特に軍部に対する反発感を、抱いているという説がある。加えて、ハマースはエジプトのムスリム同胞団と軍との関係を、悪化させるように工作している、という情報も伝わってきている。

 想像するに、ハマースはエジプトのムスリム同胞団政権と、深い関係を構築し、イスラエルに対する攻勢をかけよう、としているのではないか。そのためには、合理的な判断をする軍を、ムスリム同胞団から切り離し、次いでムスリム同胞団の息のかかった人物を、軍の幹部に据えようとしているのかもしれない。

 以前、シナイ半島のエルアリーシュ市のそばで、16人のエジプト軍人が殺害されるという事件が起きたことがある。その後、犯人はうやむやになっているが、ガザから出て来たテロリストだった、という説が最も広く信じられている。

 今回の偽軍服事件は、ハマース側の人物がエジプトの軍将校に偽装し、各種の破壊工作を、行うということかもしれない。その後ろには、ガザのパレスチナ人がシナイ半島北部を実質的には、占領支配しるというとんでもない計画が、あるからかもしれない。

 この計画は噂であり、確たる証拠はないが、あるいはもっとも簡単な、パレスチナ問題の解決方法かもしれない。それはイスラエルも賛同するところであろう。

 アラブの春革命後に、エジプトを分割するという噂が流れたが、シナイ半島の北部がパレスチナ人に与えられる、という話はそこにもあった。真偽のほどは分らない。今回の軍服の話も、その目的は確かではないし、犯人もまだ分らない。これから想像もしなかったようなことが、連続して起こってくるのであろうか。