『エジプト警察に代わって民間警備会社採用か』

2013年3月18日

 エジプトでは20011125日の革命以来、今日に至ってなお、市中は騒然としている。毎日エジプトのどこかでデモがあり、カイロやアレキサンドリアも、同様の混乱状況にある。

 デモ参加者の行動は日増しに、激しさを増してきていることも事実だ。このため、最近も2人の警察官が死亡した。こうなると警察官はやってられない、ということであろうか。所定のデモ阻止に向かわなくなったのだ。警察によるストラが始まった。

 カイロの市民のなかには『警察がストをやっているのか、仕事をしているのかの区別が付かない。』と揶揄する者もいるほどになっている。それは、市内での犯罪が増加している、ということでもある。

 エジプト南部のアシュート市などでは、ガマーと呼ばれるイスラム原理主義組織のメンバーが、オートバイに乗って活動し、治安の維持にあたっている。彼らのことをオートバイ委員会、と呼んでいるそうだ。

 エジプトの内務省は決して、ムスリム同胞団政権に協力的ではなく、敵対的ですらある。そこでムスリム同胞団政権は、民間に警備会社を設立させて、警備にあたらせようと考え始めているということだ。

 そこまで考えるようになったのは、ムスリム同胞団本部や、大統領府、ムスリム同胞団要人に対する攻撃が、日増しに激しさを増してきているからであろう。先日も、ムスリム同胞団のトップであるバデ―ウ氏が、家族と食事に出たところを襲われている。

 問題はこの民間警備会社が設立され、それが正式に政府によって採用された場合、彼らの行動は限度を超すことが、懸念される。つまり、誰も彼らの暴力を、阻止できなくなるということだ。

 同時にそれは、国家が崩壊したことを意味する、と受け止めている人たちもいる。アメリカ式の民間警備会社が、銃器を持ってエジプト国内で警備にあたった場合、相当数の犠牲者が出るであろうことは、今からでも想像できる。

 ムスリム同胞団は強権発動政権に、変わって行くのだろうか。民主的な社会を生み出すことを目的に起こった、革命後のエジプト社会の発展は、当分の間後回しにされ、権力の確立が急がれそうだ。