サウジアラビアが斬首刑を減らして、銃殺刑を増やす方針であることは、既にお伝えしたが、どうもその理由が腑に落ちない。処刑対象者がそれだけ多い、ということなのであろう。サウジアラビアでも斬首役人になる希望者が激減し、高齢者だけになってきているようだ。
その処刑についてある友人が、次のようなことを伝えてきた。彼の話によると、今年は既に27人が処刑され、昨年の年間処刑者数69人を、簡単に超えるだろうということだ。2月までで27人だとすると、それに単純に6を掛けた数が、今年推定される処刑者数になるからだ。
問題は処刑される人たちが、未成年で犯罪を犯し、誰も殺していないにもかかわらず、青年に達すると処刑対象になり、この前も7人が処刑されたというのだ。これはイスラム法(シャリーア)からいっても、問題があろう。
つまり、社会や王国にとって不都合と思われる者は、片っ端から首を斬られて、殺害されているということだ。それ以外にも、何の取調べも受けないままに、刑務所に入れられ30年も経っている者も、多数いるということだ。
もちろん、家族が釈放を要求して、デモを行うわけだが、デモのやりようによっては、家族も刑務所に入れられてしまう、ということになる。こうしたことを放置している欧米は、まさにダブル・スタンダードであろう。サウジアラビアの石油資源が、全ての非難の口を、閉ざさせているということだ。
もう一つの問題がいまのサウジアラビアにはある。80年代に行われたと同じ様な方式が、今も行われているのだ。その方式とは、政府にとって不都合で危険と思われる若者たちを、ジハードの名の下にアフガニスタンに、送り出すというものだった。
最近でも同じ様に、挙動不審で逮捕した若者たちや、犯罪を犯した若者たちに対し、シリアでジハードに加われば、無罪放免にしてやるというのだ。そして、それを受け入れたサウジアラビアの若者たちは、トルコ経由でシリアの戦場に、向かうということのようだ。
シリアの戦場で戦っている戦闘員の多くが、この種類の人たちであるとすれば、彼らはシリア人を殺害することに、何の抵抗も感じないだろう。ジハードの名の下に、殺人を犯しているのだ。