『イスラエルのイラン攻撃は遠のいたのだろう?』

2013年3月16日

 これまで長い間、イスラエルのネタニヤフ首相はイランの核兵器開発が、自国にとって極めて危険であると強調し、アメリカとの協力の下に、イランを攻撃したいと語り続けてきたが、どうやら腰砕けになりそうだ。

 アメリカがイラン攻撃に乗り気でないことが分かると、ネタニヤフ首相は単独でもイランの核施設を破壊するといきまいたが、それもアメリカの制止で思うように行かないようだ。そもそも、ネタニヤフ首相がイラン攻撃を口にしたのは、国内向けだったのではないかと思えてならない。

 アメリカも同様だが、国内に山積する問題の国民の不満の捌け口として、イラン攻撃を語っていたのではなかったのか。どう考えても、イスラエルによるイランの核施設破壊攻撃は、成功しそうに無いからだ。

 地下深くに設けられ、イランの各地に散らばる施設を、一気に破壊するのは極めて困難というよりも、不可能に近いことであろう。アメリカの強力なミサイル、バンカーバスターですらその地下までは、届かないといわれている。

 最近になって、アメリカのオバマ大統領は、イランの核兵器は出来ても1年以上先だろうと語り、イギリスも難色を示した。こうなると、イスラエルのイラン攻撃を激励してくれる国は、無いということではないか。

 今イスラエルでは、新内閣が構成されようとしているが、ネタニヤフ首相は強硬なユダヤ原理主義政党よりも、中道派の政党との連立を進めている。そのことはイランへの強硬対応を、ネタニヤフ首相も望んではいない、ということではないのか。

 シリアの形勢が逆転し、アサド大統領側が少し有利になってきているようだが、そうなるとイランとシリアとの関係を考えると、イスラエルが攻撃をするならまずシリアであり、イランではあるまい。

 イランとシリアのどちらを先に攻撃するかの判断を間違えれば、とんでもない亡国にすら繋がってしまう危険性がある。レバノンのヘズブラ、ガザのハマースもまた、十分な警戒を要する相手だ。

 それらの総元締めであるイランを攻撃すれば、全ての問題は解決すると考えるのは、幼稚ではないのか。ネタニヤフ首相が冷静になっていることを期待したい。