湾岸の覇権争いとでも言うのであろうか。大分前から、サウジアラビアとイランとの関係は、シックリ行っていない。イランからすればサウジアラビアの王家は、堕落しきった輩であり、到底受け入れるわけには行かないだろうし、サウジアラビアからすればシーア派という、イスラム・モドキの、イラン革命体制は、受け入れられないということであろう。
イスラムの厳格なワハビー主義者から見れば、イランのシーア派イスラムはイスラムではない、という認識のようだ。シーア派のメッカ巡礼を認めてはいるものの、ハッジのときですら物議をかもす、イランのシーア派はサウジアラビアにとって、不愉快極まりない体制であろう。その体制はパーレビ王家を、打倒してもいるのだ。
こうしたことから、サウジアラビアはイランに対し、イランはサウジアラビアに対し、直接間接敵対行為を繰り返してきている。現在イエメンではサウジアラビアが支援する体制派と、それに対抗する反対派のアルホウシ部族が戦っているが、イランは反体制派のイエメンに組織に対し、対空ミサイルを含む武器を大量に供与している。
先日もその密輸船が拿捕されたが、また密輸が行われたようだ。それらの武器はイエメンの反体制派だけではなく、サウジアラビアの反体制派にも、流れているのであろう。そうなるとサウジアラビアは、放置しておくわけには行かなくなる。
サウジアラビアとイランとの対立は、バハレーンでも見え隠れしている。述べるまでも無く、現在バハレーンの体制に反対しているのは、多数派のシーア派国民である事から、サウジアラビアもバハレーンも、イランの介入を警戒してきていた。
最近そうしたことからか、バハレーン政府はイランに敵対知るMKO(ムジャーヒデーン・ハルク)に対する支援を始め、近い将来、彼らを国内に受け入れシーア派対策に、導入しようと考えているようだ。
MKOはイランの反体制運動の一組織であり、イラクがサダム・フセイン大統領の時代の1998年に、イラクに拠点を移して、イランに対するゲリラ闘争を継続していた組織だ。当初はイランの国境に近い、アシュラフに基地をおいていたが、最近では米軍が駐留していたキャンプ・リバテイに移ったようだ。
バハレーン政府がサウジアラビアに対し、デモ鎮圧に派兵依頼しただけではなく、MKOを受け入れたということは、イランに対するあからさまな敵意を示すものであろう。それが吉と出るか凶と出るかはまだ分からない。イエメンもバハレーンも、サウジアラビアの意向で動いていることだけは確かだ。