サウジアラビアのシリア内紛への関与が、色濃くなってきているようだ。以前からサウジアラビアはカタールと並んで、シリアのアサド体制打倒に、背後から関与していると言われてきていた。
今回表面化してきたのは、これまでの話よりももっと明確な形での、サウジアラビアのシリア問題への、関与ではないだろうか。サウジアラビアが外国から武器を購入し、ヨルダン経由でシリアの反体制側に渡している、という話が伝わってきた。
その話によれば、サウジアラビアがクロアチアに金を払い、武器を入手しそれをヨルダン経由で、シリアの反体制側に渡している、ということだ。この動きは昨年の12月から始まっていた、とニューヨーク・タイムズ紙が伝えた、とイランのプレス・テレビが報じている。
今回の武器給与では、小銃に加え機関銃そして重火器や、爆発物が含まれており、これまでの物とは格段に、本格的なものになっている、ということのようだ。
これらの武器はクロアチアで起こった戦闘時に、集められたものの残りであり、その処分について、クロアチアの高官が昨年訪米して相談した、という情報もある。
サウジアラビアばかりではなく、アラブ首長国連邦はスイス製の手りゅう弾を輸入し、反シリア体制側に送った、ということのようだ。
クロアチアから伝えられた情報によれば、クロアチアの空港から武器を詰めたカーゴが、76機の飛行機でヨルダンに運び込まれ、その飛行機便は昨年12月14日から12月23日までと、今年1月6日から2月18日に、クロアチア・ヨルダン間を飛んでいるということだ。
アメリカとイギリス、そしてトルコ、サウジアラビア、カタールなどが、これまでシリアの反体制派を支援してきていたが、今回のサウジアラビアによる、武器の大量輸送は、それが一段階グレード・アップしたことを、意味しているのかもしれない。
サウジアラビアはこれまで、シリア内戦に関与してきたことで、もしアサド体制が生き残れば、自国にとって危険が迫る、と判断しての行動かもしれない。確かにその懸念はあろうし、アサド体制が生き残る可能性も、現段階では否定できない。
それは、ロシアがシリアのタルトース港を、唯一の地中海の軍港と、位置付けているからだ。ロシアは黒海の港とシリアのタルトース港を結び付けて、地中海域の海軍力を維持する、強い意志を持っていると伝えられている。
今回のサウジアラビアの動きを起点に、シリア内戦は新たな段階に、入るかもしれない。