イスラエルのマギッド刑務所で拷問を受けて、アラファト・ジャラダト氏が死亡した。この死因について、イスラエル側は彼が心臓病を患っていたことによるとし、拷問による死亡ではない、と説明している。
しかし、パレスチナ人の誰もそう信じている者はいない。遺体を調べたパレスチナの医師団は、アラファト・ジャラダト氏が死亡したのは、頭がい骨などに受けた、打撲によるものだとしている。つまり、拷問があったと認めている。
このアラファト・ジャラダト氏の死亡は、多くのパレスチナ人受刑者に、明日は我が身と感じさせたのであろう。4500人の受刑者のうちの、3000人が彼の死を悼んで、1日間のハンストをした。
これだけではない、ヨルダン川西岸地区では、抗議のデモが行われてもいる。
ガザからはロケットによる、イスラエル領土内への攻撃が行われた。これは、昨年11月に起こったガザ侵攻後に結ばれた、停戦合意を破るものであった。それだけパレスチナ人の怒りが、大きいということであろう。
このガザからのロケット攻撃は、昨年行われた段階で、テルアビブやエルサレムまで届いたことから、大きなショックをイスラエル国民と政府に与えたが、今回のロケットはイスラエル南部のアシュケロン市の、南側の道路にダメージを与えるだけで、済んだようだ。
だが、いまイスラエル国内では、大きな不安が持ち上がっている。それは、イランの革命防衛隊員の技術者が、ガザに入ったということだ。彼はこれからガザのハマースや、イスラム・ジハード組織に対して、ロケットの飛距離の伸びる技術を、もたらすのではないかということだ。
そうなれば、イスラエルの危険度が、増すということになろう。イランの兵器技術は制裁のなかで、大分向上しているようだが、ロケットの飛距離を伸ばす程度のことは、技術的には容易であろう。
そうなると、イスラエル政府はガザのロケット工場を探り出し、攻撃して破壊する必要があろう。同時に、イラン人技術者に対しても、何らかの対応をせざるをえまい。
加えて、イスラエルとしては何とかアメリカの了承を得てイランそのものに対する攻撃を加えたいのかもしれない。
イスラエルが イランに対して、軍事攻撃を加えることは、アメリカから見れば極めてリスクの高いことだけに、なかなか許可を出すまい。その難しい許可を取るために、イスラエルは今回のガザからのロケット攻撃と、イランの革命防衛隊員のガザ入りを活用するかもしれなし。
つまり、パレスチナ人の怒りが高まり、イスラエルが不安を高めた結果、双方の緊張は以前にも増して、高まったということだ。