『サウジアラビアのワリード王子が警告』

2013年2月22日

 サウジアラビアが、危険な方向に向かって進んでいることは、何度となく書いてきたが、遂に同じ意見がサウジアラビア王家の、一員からも出て来た。サウジアラビア国内には王制に対する不満が、限界点を超えるほど、膨らんできているというのだ。

 以前、サウジアラビアのルージュ王子(彼は共産党思想を持っているとして、こう呼ばれるようになった)が、サウジアラビアの王族に対し『既に十分な財産を蓄えたのだから、王位を捨ててどこかに亡命しろ。そうしなければお前たちを待っているのは、斬首刑だけだ。』と警告した。

 今回サウジアラビア王家に対して警告を発したのは、イデオロギーにかぶれた人物ではない。れっきとした世界的実業家である、ワリード・ビン・タラール・アブドルアジーズ王子なのだ。

 彼は『現在多くのサウジアラビア国民が失業している。他方では膨大な数の合法非合法外国人が、サウジアラビア国内で働いている。この問題を解決しなければ、やがてサウジアラビア国内で、国民による暴発が起こる。』と警告したのだ。

 彼はこのサウジアラビア国民の失業問題が、単に単純労働者予備群だけではなく、高学歴のサウジアラビア人も、含めている点に注目している。欧米で取得したドクター、マスター学位を有する若者男女3500人が、サウジアラビアではその専門的な知識を、発揮出来ないでいるというのだ。

 これとは別に、サウジアラビアでは反政府の動きをした者たちが、4万人以上も投獄されているのだ。その投獄された人たちの家族が、釈放要求デモを、何度も繰り返して展開ている。

 加えて、サウジアラビア東部、ペルシャ湾岸に面するアルカテイーフ地区では、シーア派サウジアラビア国民が、差別撤廃要求を掲げて、デモを繰り返してもいる。サウジアラビア政府は力による弾圧で、これを阻止する構えだがうまくは行くまい。

サウジアラビアを始めとする、アラビア湾岸産油国民は、白いデシダーシャと呼ばれる、オバキュー・スタイルの服を着て歩き、その恰好をしている人は、皆産油国の大金持ちだ、というイメージがあったが、いまではそうではなくなった。

 実は、サウジアラビアには人口の4分の1程度の、貧困層がいるのだ。彼らは第一次オイルショック後に成長し、豊かに暮らしてきたが、いまでは起業することも、いい就職の機会にも恵まれていないのだ。そうしたもろもろの不満が爆発する日は、意外に近いのではないか。