エジプのモルシー大統領の子息、オマル・モルシー氏が父親の大統領という立場を考慮して、折角決定した就職口を断った。
エジプトでは公式数字で、現在13パーセントが失業中、一流大学を出ても就職は、なかなか決まらない状態にある。そのなかで、モルシー大統領の子息オマル・モルシー氏の就職が決まると、あちこちから非難が起こった。
父親の威光で就職が決まった、という単純なものから、実は彼は4千ドルの高給を取ることになった、という全く信じられないような、噂が広がった。
オマル・モルシー氏はエジプトのザガズイーク大学商学部を卒業し、エジプト空港航空管制会社に、就職が決まっていた。述べるまでも無く、彼の給料は常識の範囲であり、900エジプトポンド(134ドル)だったのだ。
しかし、それも父親の威光で決まったのだとする、やっかみが多かったため、彼は父親の大統領という立場を考慮し、この航空管制会社に決まった就職を、断念したのだ。
ある意味ではきわめて立派なことであろう。ムスリム同胞団の結成するエジプトの現政府は、イスラムの前の平等という立場から、汚職、賄賂、コネを厳しく取り締まる、方向にあるからだ。
前政権のムバーラク大統領時代には、長男のアラーアは金儲けに専念し、次男のガマールは次期大統領としての地位を、着実に確保する方向で動いており、大統領夫人は公益団体の名の下に、賄賂を取り捲っていたことを考えると、ムスリム同胞団が結成する現在のエジプト政府には、明日への希望を持てそうな気もする。
このモルシー大統領の子息、オマル・モルシー氏の決断を、賞賛してあげるべきではないか。