『トルコ与党内紛と顛末』

2013年2月17日

                 

 今年半ばに、トルコのエルドアン首相は、首相の任期切れとなるが、第3期の首相に就任することが出来ないため、彼は大統領職の権限を拡大し、アメリカ型にした上で、大統領就任を果たそうと思っていた。

 しかし、そのことは与党内部からも外部からも、一定の人物に権限が集り過ぎ、民主主義が犯されると非難された。

 エルドアン首相はそれでも何とか、アメリカ型大統領就任を希望し、トルコ人識者に、画策し相談していた。

 与党内部ではエルドアン首相が、彼の考えを変えない場合には、他の党に与党の座を明け渡し、エルドアン首相の大統領就任を阻止する、という考えまで出た。

 まず手始めに地方選挙で、与党AKPが敗北し、与党の座を明け渡す、という案だった。

 しかし、昨年12月から今年1月にかけて、与党内部ではそうした計画は、リスクが大き過ぎるとして、妥協の模索が行われた。

 結果的に、与党内部ではエルドアン首相の、大統領就任を認める方向に、話がまとまったようだ。

 エルドアン首相に対しては、自説を強引に進めることを、慎むよう説得がなされた。最近、エルドアン首相の発言が、おとなしくなってきているのは、そのためであろう。

 問題は、大統領権限を拡大するには、憲法の改正が必要だが、与党内部はともかくとして、野党側や法律学者からは、反対の声が上がっている。

 エルドアン首相の強引な性格に加え、彼に大統領という肩書きを与えた場合、まさに独裁者になるのではないか、という懸念からであろう。