エジプトが世界に誇った1・25革命は、一時期全ての人たちが話を始める前置詞のように使っていいた。『1・25革命成功の上で、、、。』といった具合にだった。
しかし、革命から2年が経過したいま、1・25革命が何ももたらさないばかりか、状況は革命以前よりも悪化していることを、認めざるを得なくなっている。失業、物価高騰、社会不安挙げたらきりがないほど問題が山積している。
ムスリム同胞団の政権、自由公正党は汚職を徹底的に退治しようとしているが、官僚たちは相変わらず汚職で、金を貯め込んでいるようだ。特に外交官や外国と関係のある部門の高官たちは、立場を利用して私腹を肥やしている。
他方、一般国民の生活は極限と言っていいほど困窮している。貧富の差があまりにも明確になってきているために、社会では不満が渦巻いているのだ。それが暴発のエネルギーを、ため込んでいるのだ。
2月に入り1日は金曜日、エジプトでは金曜礼拝後の、大デモを国民が実施する、という情報が飛び交っている。
エジプトの首都カイロ市は、デモを阻止するために、道路封鎖があちこちで行われている。カイロの一流ホテルに通じる道路も封鎖されているし、空港からホテルまでの道路も、各所で封鎖されている。
無事に空港に着いても、そこからホテルまでたどり着くには、運が悪ければ大分遠回りしなければならなくなるだろう。そしてホテルに着いても、ほっとできない可能性がある。カイロの一流ホテルデアルセミラミスのロビーは、暴徒が入り込み放火され、破壊されているからだ。
政府に代わって野党側の党首たちが結束し、政府の説得に回ったが、説得はいまだに成功していない。
次いでイスラム教の世界的権威である、アズハル大学の総長が仲介に入り、幾つかの解決案を提案したが成功していない。それどころか、アズハル大学が呼び掛けた会議でも、暴れだす者がいたほどだ。
こうなると、最後の切り札になりうるのは軍しかあるまい。これまで沈黙を守り続けてきた軍が、国民の要望で立ち上がる可能性があろう。軍はあくまでも国民の要望にそって立ち上がった、という形にしたいのではないか。
そうでなければ、国民の一部から『革命を潰し軍の独裁体制が繰り返される。』と、非難を受ける懸念があるからだ。エジプトの近現代史をみると、1952年の革命以来、権力は軍の出身者によって、独占されてきていた。ナセル大統領、サダト大統領、そしてムバーラク大統領は、いずれも軍人出身なのだ。