ワシントンのアラブ・アメリカン・インスチチュートが、2013年1月20日から23日にかけて実施した世論調査によれば、75パーセントのパレスチナ人が和平交渉ではなく、闘争によるパレスチナ問題の解決を、支持することを明らかにした。
これは1264人のパレスチナ人に対して行った調査結果であり、パレスチナ人全体の意向であるとは言わないまでも、調査結果は一定の信頼性を持っている、と考えていいのではないか。
このことは、ヨルダン川西岸地区を拠点とする、マハムード・アッバース議長が主導する、イスラエルとの妥協の和平交渉が、何ら成果を生まないままに、何十年もの歳月を浪費してきた、ということから出たものであろう。
その半面、この世論調査の結果は、ガザを拠点とするハマースの武力闘争路線が、パレスチナ大衆の間で、大きな支持を集めていることを、明確に表しているということであろう。こうなると、パレスチナ政治の主導権は、大衆レベルでは完全に、パレスチナ自治政府ではなく、ガザのハマースに移った、ということではないのか。
そうなると、イスラエル政府は何処までも卑屈に妥協する、パレスチナ自治政府との間に和平交渉を進めても、何の進展も安全も期待できないばかりか、かえってパレスチナ大衆の怒りを拡大させ、力による衝突の時が早まる危険性が、出て来たということであろう。
いままで、ヨルダン川西岸地区はパレスチナ自治政府の独壇場であり、ハマースはあまり大きな影響力を持っていなかったが、これからはハマースがヨルダン川西岸地区でも、パレスチナ自治政府よりも力を増していこう。
そうした流れが歴然となって行けば、欧米諸国も段階的に、パレスチナ自治政府よりもハマースとの話し合いを、増やしていくようになるのではないか。つまり、パレスチナ史の流れが変わってきた、ということであり、その歴史の主役も変わってきたということだ。
ハマースのトップのハーリド・ミシャアルやイスマイル・ハニヤがこれからは世界のヒノキ舞台に立つということだ。日本政府は彼らとの関係を、既に構築しているのだろうか。それとも薄汚れたたかりや集団の、マハムード・アッバース議長一派を、いまだに相手にしたままなのであろうか。