『ハマースのミシャアル氏2国家解決は拒否する』

2013年2月 2日

 

 長い間、中東問題のトップの座を守り続けているパレスチナ安問題の解決については、これまで幾つかの案が出ては消えてきている。そのなかで最も妥協できるであろうと思われる案は、現在のイスラエル、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区を2分して、イスラエルとパレスチナの国家にするという案であろう。

 これまでイスラエルとパレスチナ自治政府が、真顔で続けてきた交渉は、この解決案をどう微調整するかにあった。例えば、分割のラインは1967年戦争(第三次中東戦争)以前のラインとすべきだ、と主張してきたのは故アラファト議長であり、現在のマハムード・アッバース議長だ。

 しかし、この案に対しイスラエル側は、それでは現状を大幅に変更しなければならない、と反対している。既にイスラエル側はヨルダン川西岸のパレスチナ人オ領土内に、幾つもの入植地を設立し不法に占拠しているのだ。

 イスラエル人は国際的な非難に耳を貸すことなく、強引に入植地の建設を進めてきたし、イスラエル政府もそれを後追いの形で認めてきている。こうなると、この不法に占拠された土地が土台となり、そのうちのどれだけをパレスチナ側に返すのか、ということでイスラエルは有利に、交渉を進められるのだ。

 だが、このトリックのようなやり口を真顔で受け止め、これもトリックのような交渉を、真顔で続けているのがパレスチナ自治政府だ。彼らはパレスチナ国家を設立することなど、全く考えていまい。

 もし、パレスチナ国家が国際的な力で、設立されるようなことになれば、そのときは世界中からご祝儀を貰えばいい、という考えであろう。そのような日は当分こないから、しばらくの間外国の援助で、優雅に暮らしていける、と考えているのであろう。

しかし、もう一つのパレスチナ組織であるハマースは、そうは考えていない。彼らは血の犠牲を払ってでも、パレスチナの土地を取り返す、と本気で考えているのだ。実際にハマース率いるガザ地区は、これまでイスラエルとの間で戦闘を繰り返し、多くの犠牲者を出してきている。

 最近、そのハマースのリーダーであるミシャアル氏が、ヨルダンの首都アンマン市を訪問し、アブドッラー二世国王と会談してきた。その後、一部関係者からミシャアル氏が2国家案を受け入れ、イスラエルを認めたという情報が流れたが、その後ミシャル氏は明確に2国家案を受け入れることを拒否した。

彼とハマースの考えでは、パレスチナ問題の解決とは、イスラエルを地上から抹消し、パレスチナの全ての土地に、パレスチナ国家を設立するというものだ。