エジプトでは2年前に起こった、1月25日革命2周年記念を機に、国内全域で反政府デモが展開された。結果的に多くの国民が死亡している。この状況を湯慮したイギリス政府は、在エジプト・イギリス大使館を閉鎖した。
イギリス大使館の閉鎖により、エジプトのカイロ市ではイギリス行きのビザが、発給されなくなったばかりか、一切の業務が停止された。これはエジプト国内の治安状況が、悪化したためにとられた措置だ。
カイロ市のイギリス大使館は、革命の中心地である解放広場(メイダーン・タハリール広場)から、近い距離に位置していることもあろう。
エジプトでは今回の革命記念日で起こった反政府デモと、それによって発生した犠牲者の数が多かったことから、モルシー大統領が戒厳令を敷く決定を、下している。
このイギリス政府の決定を、日本も重く受け止める必要があるのではないか。イギリスは元エジプトの宗主国であり、エジプト国内には十分すぎるほどの、情報ネット・ワークを構築しているものと、思われるからだ。
イギリスの情報分析が100パーセント正確だとは言わないが、いまのエジプトの危険度が、高いと思うのは自然であろう。
ムバーラク体制が打倒されたのは2年前だが、現在のエジプトの状況は、あの革命勃発以前よりも、悪化しているものと思われる。ある青年は『パンと仕事と自由が欲しい。』と訴えたと言うが、まさにその通りであろう。
失業率が上がり、エジプトポンドは下落し、そのために物価は上がり、国民はどんどん生活苦に追い込まれているのだ。我々からすれば、彼ら庶民はどうやって生活できているのか、不思議なくらいだ。
昨年の11月に、カイロを訪問した際に、エジプト人の友人に聞いてみたところ『家族、親戚、友人、知人から借りて生活しているのだ。』と言う返事が返ってきたが、それもそろそろ限界ではないか。
そう答えてくれた友人は『来年(2013年)の3月頃になったら、政府は公務員給与を支払えなくなるよ。』とも語っていた。こう考えてみると、イギリス政府が緊急事態にエジプトが突入している、と判断したのは当然であろう。