『いやなニュースが続く中でいい話レバノンから』

2013年1月21日

 アルジェリアの人質事件やシリアでの革命闘争、アラブの春革命後の混乱する、アラブ諸国のニュースなどを毎日見ていると、いい加減うんざりさせられる。どうして中東の人たちは、平和をもっと望まないのか、とさえ思えるのだ。

 そうした中で珍しくいい話があったので、お伝えすることにした。それは宗教の壁を乗り越えて、結婚することをレバノンの大統領が、率先して国民に訴えたのだ。

 現在のレバノンの法律では、宗教が異なる者同士の結婚は、認められていない。例えば、イスラム教徒の男性とキリスト教徒の女性が、どんなに愛し合っていても、結婚することが認められないのだ。

 それでは、こうしたケースの場合どうしているのか、ということになるが、そこにはそれなりの抜け道がある。レバノンに近いキプロスに行けば、宗教の異なる者同士の結婚が認められ、正式に結婚することが出来るのだ。

 若者たちはキプロスに行って結婚をし、結婚証明書を持ってくれば、レバノン政府がそれを認める、ということになっている。つまり、異教徒間の結婚禁止は、あくまでも建前上のもののようだ。

 そうした現状を馬鹿げていると思ったのであろう。レバノンのミシェ-ル・スレイマーン大統領はツイッターを通じて、異教徒間の結婚を認めよう、とレバノン国民に呼びかけた。

 ミシェ-ル・スレイマーン大統領は異教徒間の結婚を、レバノン国内で認めるようになれば、宗教を異にした者同士の間で、何度となく繰り返されてきた武力紛争が、解決できるとも訴えている。

 確かにそうであろう。異教徒同士の結婚が進めば、彼らの間で起こる紛争を、軽減することが出来るし、仲介調停できる者の数も増えよう。めでたしめでたしと言いたいところだが、実際にはどうであろうか。

 いずれにせよ、そうした提案がキリスト教徒のミシェール・スレイマ-ン大統領から出てきたことは、歓迎すべきであろう。ミシェール・スレイマーン大統領はこのメッセージを、英語とアラビア語で流しているということだ。

彼のツイッターへのアクセス件数は、結構高いようだからこの提案が、国民の間に広がるのには、あまり時間がかかるまい。