イスラエルの元ジュデア・サマリア・ガザ委員会のダニ・ダヤン議長が『イスラエルとパレスチナが共存するという、2国家解決はありえない。』』と語った。
そして、彼はウルトラ右派の方が現実を直視している。彼らの言う2国家解決案はない、という考えのほうが現実的だとも語っている。
それでは、ヨルダン川西岸地区は、将来的にどうなるのであろうか。彼は当面の間は、イスラエルがヨルダン川西岸地区を併合することは無い、と語りながらも、結果的にそうなるだろうと語ってもいる。
つまり、当分の間イスラエルは明確な形での、ヨルダン川西岸地区の併合は行わないが、ある程度の時間が過ぎた頃には、実質的にそうなっているであろう、ということだ。
そのことの意味するところは、今後もイスラエルによる、ヨルダン川西岸地区への入植が継続され、気が付いてみたら同地区のほとんどが、イスラエルの支配下になり、ヨルダン川西岸地区に居住するパレスチナ人たちは、生活できなくなり、そこから出て行かざるを得なくなる、ということであろう。
ダニ・ダヤン氏に言わせれば、こうした状況が発生するのは、パレスチナ側の間違った判断が重なって行われてきたからだ、ということのようだ。それは事実であろう。パレスチナ自治政府がこれまで行ってきたことは、イスラエルのためのガードマンであり、和平が進んでいるという、嘘のイメージを作る役割であった。
その見返りとして、パレスチナ自治政府の幹部たちは、湾岸諸国の王侯貴族並みの贅沢を、保障されてきていたのだ。日本政府がパレスチナ自治政府に援助している金も、この目的で出されていたのではないのか。パレスチナ住民はほとんど、その恩恵を受けていないのだから。
こうして現実が進み、入植地が拡大し、他方でパレスチナの経済は成長しないなかで、外国から安易に援助金を受け取れる状況が続き、遂には、パレスチナ人がヨルダン川西岸地区を、捨てて出て行く時が来るだろう。
その結果は、直接的にヨルダンに及び、ヨルダン王家は極めて不安定な状況に、陥っていくことになるのではないか。世界の大国が意図してか意図せずにか与える、ただのパンが結果的に、パレスチナ自治政府の幹部を政治的に太らせ、糖尿病と心臓病に追い込んでいる、ということではないのか。