アルジェリアのガス・サイトで起こった、マグレブ・アルカーイダによる人質事件は、あっという間に終わった。その犠牲者数は数十人にも及んでいるようだが、真実の部分はこれで隠蔽されて、終わるのかもしれない。
ある親しいジャーナリストが、意見を聞きたいと言ってきたので、自分の思っていることを話してみたのだが、今回の事件の場合、政府も深く掘り下げてみる必要が、あるのではないかと思われる。
事件はガス・サイトの現場にある、住居部分を狙って行われ、当初、600人を超える従業員が、人質となったと発表された。一辺1キロメートル弱のコンパウンドは、相当大規模なものであり、高さ2・5メートルの塀が、それを取り囲んでいたということだ。
関係者の語るところによれば、このコンパウンドはアルジェリアの軍人が、警護にあたっていたということであり、あのような事件が起こることは、全く想定していなかったということのようだ。
多人数、高い塀、厳重な警護ということを考えると、この人質事件は襲撃した側が、相当周到な計画を立てた上で、実行したとしか思えない。そうでなければ、作戦は成功しなかったろう。
加えて、襲撃した側の数も相当数に及んでいたのではないか。少なく見積もっても、人質の10~20パーセントの数が、作戦に参加していたのではないか、と思われる。つまり推測だが、60人から100人程度の襲撃部隊であったろう。
誰が作戦を立てたのか、彼らはどうやってコンパウンドまで来たのか、誰が指揮していたのかということを考えると、、これはほとんどプロの軍隊並みの、作戦指揮能力があったと考えるべきではないのか。
しかも、今回の場合、身代金の要求は聞こえてこず(情報を伏せている可能性もある)、犯人側の要求は、アルジェリアが拘束している、イスラミスト100人の釈放と、人質を伴って犯人たちが逃亡することを認めること、そしてマリでのフランス軍の作戦を中止すること、といった内容だったようだ。
それにしても、多数の国々から来た人たちが、人質に取られている。そして、彼ら襲撃犯をアルジェリア軍が包囲したにもかかわらず、なぜ非常に早い段階で、武力突入という強硬な手段に出たのか。
犯人と時間をかけて交渉することも、関係諸国との連絡をすることも、時間的に可能だったはずなのだが。それが無かったということは、何か急いで事件を解決させる必要が、あったということであろう。それが何なのかを考えなくては、日本政府が国家治安局を創設しても意味がなかろう。