イスラエルが大分前から計画していた、新入植地の建設を阻止しようとして、パレスチナ人が考え出した抵抗活動が、ある程度の成果を生み出すかもしれない。
これは東エルサレムとヨルダン川西岸地区の間にある、イスラエルがE-1地区と呼んでいる場所に、入植地を建設するのを阻止する活動だ。イスラエル側はこの入植地建設を大分前から計画していた。
しかし、パレスチナ自治政府が国連で、国家のステータスを求める活動を開始していたことから、結果が出てから計画を実施する、という方針だったようだ。つまり、新入植地の建設はイスラエル側による、パレスチナに対する報復、という意味合いがあるのであろう。
今回イスラエルが計画したE-1地区での入植地建設は、東エルサレムからヨルダン川西岸地区に繋がる地域であり、入植地が完成すれば、東エルサレムとヨルダン川西岸地区との往来は、大きく制限されることになろう。
そこでなんとしても、この入植地建設を阻止しようという動きが、パレスチナ人と国際支援組織との間で、始められたのだ。彼らは入植地建設予定地区に大型テントを20張張り巡らし、食料水その他の最低必需品を持ち込み、長期戦を展開する計画でいる。
もちろん、イスラエル側はこれらの抵抗者たちを、軍を派遣して追い出す予定だろうが、抵抗者追放はそう簡単ではないだろう。既にパレスチナ自治政府は、イスラエルの入植活動やガザへの攻撃について、ICC(国際刑事裁判所)に提訴することも考えている。
そうした状況を考えると、今回の抵抗運動は多分に、大事になる可能性があろう。イスラエル軍が出動し力づくで追い出そうとするだろうが、今回の場合は発砲するわけには、行かないのではないか。そうなると、テントにこもっている人たちを、ごぼう抜きにするしかあるまい。
当然のこととして、パレスチナ自治政府も国際支援組織も、既に世界中のマスコミにこのことを伝えており、相当数のジャーナリストが集ることが予想されよう。
パレスチナ側は多分、暴力を一切伴わない形で、抵抗活動を展開しようから、それに対するイスラエル側の対応だけが、暴力的なものに見え、世界中に報道されることになろう。これはマルワーン・バルグーテイ氏が、刑務所からパレスチナ人に呼びかけた、形を変えた『第三次インテファーダ』ではないのか。