最近、アメリカとイスラエルの関係が、だんだん弱まっているような感じがする。これまではアメリカの中東政策上、イスラエルは最も重要なパートナーであり、イスラエルはアメリカの中東における、前線基地のような役割を担っていたのではないかと思う。
それだけに、イスラエルの言う無茶が国連の場でも、アメリカによって支えられてきた。イスラエルのためにアメリカは何度となく、拒否権を発動してきている。
ところが、オバマ政権が第二期に入って以来、アメリカのイスラエルに対する対応が、冷たいものになってきているようだ。今回決まった国防長官のヘーゲル氏の起用や、国務長官起用が内定したケリー氏らは、いずれもイスラエルに対しては、ニュートラルな立場であり、是々非々で対応するのではないか、と思われている。
そうした憶測が流れているなかで、アメリカの下院外交委員会のランド・ポール議員(現実主義者のロン・ポール氏の子息))がイスラエルを訪問し、厳しい内容の発言を行っている。
彼がイスラエルの記者団を前に語ったのは、、。
『アメリカが外国から金を借りてその金で外国を支えるというのはおかしい。』『アメリカとイスラエルはお互いにメリットがなければならない。』
『アメリカの援助だけではなく、イスラエルは金を払って兵器を購入すべきだ。』といった内容の発言をしたというのだ。
確かにそうであろう。経済難で苦しんでいるアメリカが、年間30億ドルもの援助を、ほとんど無条件でイスラエルに与え続けるということは、どう考えても尋常ではないだろう。
こうしたアメリカ側の対応の変化や、ヨーロッパ諸国のイスラエルに対する嫌悪感の広がりを受け、イスラエルの政府要人の間で、イスラエルは対外方針を変更させるべきだ、という意見が出始めている。
元シンベト(イスラエルの情報機関)のトップヤアコーブ・ぺリ氏は『イスラエルはパレスチナ自治政府との和平交渉に戻るべきだ。そうでなければイスラエルは世界から嫌われ者になろう。』『このままの状態を維持していけば、確実にインテファーダ(パレスチナ人の抵抗闘争)が再開されよう。』と語っている。
しかし、イスラエルでは近くクネセト(国会)議員選挙が行われるが、国民の相当数は、国家の安全を考えると、ネタニヤフ首相の強硬路線を支持する者が多いようだ。強硬路線がイスラエルをどれだけ孤立させ、危険の淵に追いやるかというところまでは、考えが及ばないのかもしれない。