サウジアラビアの全土で、反王制デモが頻発している、とこのところしきりに、イランのプレスTVが報じている。サウジアラビアとイランとの関係が悪いことを考慮すると、この報道は少し値引きをして、受け止めないとならないかもしれない。
ただ、サウジアラビアでは確かにデモが起こっており、社会的な不満も増幅していることは事実だ。このため、差別されているシーア派が主に住む、サウジアラビア東部のアルカテイーフ市などでは、デモが毎日のように、起こっているようだ。
イランのプレスTVが報じるところでは、昨年12月27日にアルカテイーフ市やアルカシーム市で、アハマド・マタール青年が警察の発砲した銃弾の犠牲になり、彼の葬儀が12月31日日に行われた後、デモが起こったというのだ。
デモはこれ以外にも、首都リヤド市の郊外や、ブレイダ市、聖地メッカなどでも行われているということのようだ。
ジョージタウン大学のダウード・ハイラッラー教授が語るところによれば、サウジアラビア政府には民主的な機構が必要であり、住民の人権を認めるべきだ、とプレスTVとのインタビューで指摘している。そして、いまがサウジアラビア国民にとって、体制打倒に動くチャンスだとも語っている。
同じ様に政治コメンテーターのカーメル・ワズン氏は『エジプト型の革命が始まろう。それは中東全域で起ころう』と予測している。
デモに参加しているサウジアラビア国民の主な要求は、差別の撤廃、受刑者の釈放、表現の自由、民主化、女性の運転の権利の、要求といったところだ。もちろん最近ではこのことに加え、直接的にサウド王制打倒というものもある。
ただ、こうした報道は今の段階では、ほとんどがイランから発しられており、他の国からはあまり出てきていない。以前、イギリスのBBC放送も、サウジアラビアの斬首刑や人権問題については、報じていたように記憶するが。
このイランのプレスTVの報道を、イランによるサウジアラビアに対する、単なるプロパガンダと受け止めるか、サウジアラビア国内で民主化要求や、反王制の機運が高まって降り、危機的状況に向かっているのだ、と受け止めるかは、今の段階では結論を出すべきではないかもしれない。
しかし、サウジアラビアの変化が世界に与える影響を考えたとき、無視するのは危険であろう。