イランの核交渉担当者である、サイード・ジャリーリ氏はインド訪問中に、6カ国(アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、ドイツ、中国)との核協議、を、早急に再開したいと述べた。
他方、イランの濃縮活動が最近になって、スピードをダウンしている、という情報もある。
これは明らかに、イランが核交渉を成功させて、経済制裁を緩和してもらおうという、計算に基づくものではないか。
だが、6カ国側はイランが希望するような形には、少なくともここ当分の間には、変化しないだろう。また、それはイランの宗教界も、同様であろう。
イランの宗教界はアハマド・ネジャド大統領が、後継者を選出し、来たる大統領選挙で、勝利することを望んではいない。
もし経済制裁が、イランの大統領選挙が終わるまで、今後も続くとすれば、アハマド・ネジャド大統領は自分の息のかかった、大統領候補者を擁立することも,その人物を大統領に当選させることも出来まい。
イランの宗教界は欧米の経済制裁を非難はするものの、本心からではあるまい。そのほうが彼らの経済権益が守られるのだ。イランの宗教界は潤沢な外貨資金を持っており、その資金をバザール商人に融通することで、然るべき利益を得ると同時に、権力への支持も取り付けているのだ。
アメリカは裏側で、既にイランとの交渉を始めている、と言われているが、アハマド・ネジャド大統領の任期が終われば、イランは大幅な対外政策変更が可能になろうから、その成果は、その時点になれば出てこよう。
アメリカにしてみれば、ほぼ30年にも及ぶイランに対する、経済的締め付けは、そろそろ終わらせたいのであろう。イランとの関係が改善した場合、アメリカはインフラ整備から、航空機、石油、ガス産業まで、多くの経済権益を獲得することが出来よう。
つまり、イランとの関係改善はオバマ大統領にとって、垂涎のテーマということではないのか。従って、今年の後半、イランの大統領選挙後のアメリカのイラン接近を注目するべきだし、それ以前から注意して見ておく必要があるということだ。日本はイランへの接近の、タイミングを逃すべきではない。