パレスチナ自治政府はアラブ諸国に対し、緊急資金援助を要請している。それは月額で1億ドルというものだ。その理由は、本来イスラエルがパレスチナ自治政府に代わって徴収している税(1億ドル程度)を、パレスチナ自治政府に渡してくれていないからだ、ということのようだ。
パレスチナ自治政府はアラブ連盟を通じて、アラブ各国に対し約束している援助金(セフテイ・ネット援助)を、早急に渡すよう要請した。このパレスチナ自治政府の要請に返答したのは、アルジェリアであり同国は5200万ドルの援助を、早急に渡すことを約束したということだ。
しかし、大口援助国であるはずの湾岸諸国などは、いまのところパレスチナ自治政府が求めるような、反応を示してはいない。その理由は、パレスチナ自治政府幹部の援助金の不正使用に、原因の一つがあるのではないか。
パレスチナでは、一部のパレスチナ自治政府幹部は、産油国の高官同様の蓄財をしているが、他方、一般のパレスチナ人は極めて厳しい経済状況に、置かれているのだ。
ヨルダン川西岸地区の、昨年の1月から9月の経済成長率は、6・1パーセントで、決して悪い数字ではない。それは製造業、建設業、サービス業などの活況によると報告されている。これらの企業はほとんどが、パレスチナ自治政府幹部の肝いりの企業なのだ。
ヨルダン川西岸地区では、こうした経済の健全な状態にもかかわらず、失業率は19・2パーセント(一昨年は17・5パーセント)に達している。これをガザの失業率と合算すると、パレスチナ全体の失業率は23パーセントだ、と報告されている。
湾岸諸国はパレスチナ自治政府幹部の、実態を良く知っており、その上で援助を決定するか否かを決定しよう。これまで湾岸諸国を始めとするアラブ諸国の、パレスチナ自治政府に約束した援助は、相当の額に上っていたのだが、それはリップ・サービスだけであったようだ。
湯水のように外国からの援助金を使っている、パレスチナ自治政府幹部の実態を、日本政府は知らないとでも言うのだろうか。納税者としては、馬鹿らしくて援助などして欲しくない、と思うのだが。
大分前にもこのことが問題になり欧米諸国は、パレスチナ自治政府に対し援助金は、ガラス張りにすべきだと強く要求していた。しかし、日本の場合は領収書さえ合っていればいい、といった感じであり、金がどう使われているのかについては、チェックする気が無いか、その能力が無いのかもしれない。