最近、ガザが世界の注目を集めている。述べるまでも無い、それは先のガザ戦争で、イスラエルのテルアビブまで、ロケット攻撃が出来たからであろう。結果的にイスラエル国民はガザからの攻撃に強い不安を抱くようになっている。
そのことは、ガザのハマースに自信を持たせ、ガザばかりではなくヨルダン川西岸地区にも、影響を拡大しようとするようになっている。パレスチナ自治政府はそれを、抑えきれなくなってきている。つまり、ハマースはヨルダン川西岸地区からも、イスラエルに対する攻撃ができる状態を、作り出そうとしているのではないか。
現実に、ヨルダン川西岸地区のイスラエル軍武器庫から、武器が盗み出されるという事件が起こっているし、同地区でイスラエル軍とデモ隊が、衝突するということも起こっている。状況は悪化しているということだ。
そうしたなかで、パレスチナのガザについて、二つの可能性が語られるようになってきている。一つはガザがヨルダン川西岸地区とは切り離されて、独立するという可能性だ。このことと、ガザがエジプトの一部として実質的にイスラエルから、自由を得るという可能性だ。
ガザ地区は1948年から1967年まで、エジプトの一部として統治されてきていた。第三次中東戦争でエジプトがシナイ半島を失い、ガザ地区に対するエジプトの統治も崩れたのだ。したがって、現段階でガザがエジプトとの特別な関係になっても、不思議はないという論法だ。
エジプトがムスリム同胞団政権であり、ガザを統治しているハマースが同じムスリム同胞団であることを考えると、大いにありうる話であろう。しかも、エジプトはガザの住民に対し、シナイ半島の北部に自由に活動するエリアを設定する、という話も浮上してきている。それはイスラエルにとっても、好都合なことであろう。
もう一つの可能性は、ハマースがガザばかりではなく、ヨルダン川西岸地区も支配し、イスラエルに対し武力攻撃を展開し、武力で土地を奪還するという選択肢だ。ただこの場合、ハマースはパレスチナ自治政府、なかでもその中核をなしているファタハとの関係を、どうするかという問題がある。
ファタハを打倒して全権を掌握するのか、その上でイスラエルに対する、攻撃を実施するのかということだ。その場合、ハマースはイスラエル軍とファタハの戦闘部隊の、双方を相手にして戦わなければならなくなろう。
そう考えるとガザが分離独立するか、あるいはエジプトとの特別な関係を構築していく、可能性の方が高いのではないか。