1月10日の深夜に、パリで起こったクルド人組成暗殺事件は、凄惨な殺害方法であったこともあり、大きなショックを呼び起こした。PKK創設時からの女性幹部サキネ・ジャンスズ女史が殺害されたのだ。
そして彼女の遺体のそばには、30歳と39歳の二人の女性メンバーのフィダン・ドアンさんとレイラ・ソレメズさんが。パリのクルド・インフォーメーション・センターで、頭部に弾丸を打ち込まれて、殺害され横たわっていたのだ。
この事件が起こった翌日の1月11日には、トルコのエルドアン首相が『内部犯行であろう。』という推測を語っていた。こうした判断がエルドアン首相の口を突いて出てきたのには、それなりの理由がある。
トルコ政府はハカン・フェダンMIT長官(情報機関)と、PKKのアブドッラー・オジャラン議長の、長時間にわたる交渉をしていたからだ。その結果、PKK問題に進展が期待される状況が、生まれてきている。アブドッラー・オジャラン議長は武力闘争を、終焉させる方向を示し始めたからだ。
ハカン・フェダン長官がアブドッラー・オジャラン議長と会談した後、クルド人議員も同議長と会談しており、彼らも前向きな意見を口にしていた。つまり、PKK問題が平和的解決方向に向かい始めていた時期に、今回の暗殺事件が起こったのだ。
そうした状況があったために、PKK内部の強硬派が、パリに居住する3人の女性メンバーを、暗殺したのであろうという推測が、出てきていたのだ。
今回パリ警察が逮捕した暗殺犯容疑者は二人のクルド人男性だった。彼らがどのような人物であり、どのような背景があるのかについて、パリ警察は今の段階では明らかにしていない。
ここで問題がある、それはフランスの法律では、容疑者を拘束できる期間が極めて短いということだ。しかし、今回のケースは重要であることから、拘留期間の延長が、期待されている。
もし彼らが犯人であるのなら、強硬派のPKKのメンバーであることは、ほぼ間違いなかろう。そうなると、PKK問題の流れは大分いい方向に向かうこことが、期待できるのではないか。