パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、気でも狂ったのではないかと思えるほど、ショッキングなことを口走った。その発言が彼を極めて危険な状況に追い込み、場合によってはパレスチナ問題の解決を、駄目にしてしまうかもしれないのだ。
マハムード・アッバース議長が口走った内容とは、レバノンのマヤデーンテレビとのインタビューの中で語った内容だ。それは『シオニスト運動は第二次世界大戦の前にナチと関係があった。』というものだった。このテレビ放送局はレバノンのヘズブラやイランと関係が深いということのようだ。
マハムード・アッバース議長はホロコースト否定論者であったが、これ以外にも『私はこの件について既に70冊の本を書きあげているが、まだ出版していない。』とも語っている。
加えて「私はシオニズムとナチの関係を否定する者がいれば挑戦する。』とも語った。
マハムード・アッバース議長はインタビューの中で、これ以外に、シリアのパレスチナ難民をヨルダン川西岸地区に受け入れる、用意があることについても語っている。
ただし、これをイスラエルがシリア在住のパレスチナ難民の、ヨルダン川西岸地区への移住を認める場合には、パレスチナ難民が所有していた、現在イスラエル国内の家屋に対する権利を、放棄することが条件となっているようだ。
このマハムード・アッバース議長の発言は、イスラエル政府にとって極めて不都合な内容であろうし、まさかマハムード・アッバース議長が、そのような発言を公にするとは、予想していなかったろう。
これまで、シオニストあるいはユダヤ人の一部が、ナチと手を組んでユダヤ人を安全な場所に移住させるという目的で、パレスチナ地方、現在のイスラエルに移らせた、ということが一部で語られてきていた。そうでもしなければ、快適なヨーロッパでの生活を、ユダヤ人たちは放棄しなかっただろう。それでは現在あるイスラエルは、建国できなかったろうということのようだ。
マハムード・アッバース議長の発言をめぐり、レバノン首相府はテレビ局が非合法なものであり、コメントするつもりはない、とスポークスマンが語っている。
マハムード・アッバース議長のスポークスンマンは、同議長がシオニズムとナチとの関係について、語ってはいないと否定した。
マハムード・アッバース議長のスポークスマンであるナビール・アブルデイネ氏が否定しても、テレビ局側はマハムード・アッバース議長の発言を録音しており、いまさら覆すことはできまい。もちろん、パレスチナ自治政府が同テレビ局に圧力加えて、放映させなければ話は別だが。
しかし、前述のようにレバノンのマヤデーンテレビは、レバノンのヘズブラやイランがバックにいることを考えると、パレスチナ自治政府が圧力を加え放映させないようにする、ということは簡単ではあるまい。