『大半のトルコ国民EU加盟を望まず』

2013年1月27日

 もう78年前のことであろうか。トルコのイズミール市で企業経営者やインテリ、役人400人以上を前に講演したことがある。その冒頭で私は『トルコはEU に加盟すべきでない。』と言った。

 そう言った理由は単純だった『誇り高いオスマン帝国の末裔が、何故EUに加盟して2級市民になろうとするのか恥を知れ。』というものだった。この私の発言は大きな反響を呼んだ。会場に集ったほとんどの聴衆が立ち上がって、拍手を送ってくれたのだ。

 それでもその当時、トルコ国民の70パーセント以上が、EUへの加盟を希望していたのだ(2003年73パーセントが加盟希望)。

 トルコ政府は国民の希望を受け入れ、何とかEU に加盟できるよう、あらゆるEU側の条件を受け入れてきた。しかし、ギリシャとフランスの強い反対に会い、未だに加盟できないでいる。

 今回の調査は、2012年12月15日から17日にかけて行われ、結果が2013年1月3日に発表されたものだ。それによると、2023人を対象に行った調査の結果、59パーセントの国民が加盟を望まないと答え、加盟希望者は41パーセントだった。

 確かに、もしトルコがEUに加盟していたら、今頃は経済が改善されるどころか、悪化していたであろう。通貨の上げ下げも出来ず、貿易はダメージを受けていたものと思われる。

 トルコ国民のなかでEUへの加盟を望まない人が増えた理由は、トルコの経済が発展した結果であろう。トルコ国民が自分の国に、自信を持つようになったからであろう。

 トルコはいま、アラブ世界が混乱していることから、リーダーシップを求められてもいる。そのアラブ諸国の要望にトルコは十分応えられるのではないか。そうあってほしいものだ。