『エルドアン首相の周辺は盗聴器が一杯』

2012年12月24日

 

トルコのエルドアン首相が、苦々しくテレビで明かした重大な情報がある。それはエルドアン首相の自宅やオフィス、それに車に盗聴器が据え付けられていたという事実だった。

エルドアン首相に対し、何者かが盗聴装置を据え付けているという情報は、10月の段階で野党CHPの副議長ギュルセル・テキン氏によって、一部に対し明かされていたが、ここに来てエルドアン首相は、身の危険を感じたのか、あるいは我慢の限界に達したのであろう。

問題は誰が据え付けたかという事だが、当然ボデーガードや車の運転手、事務所のスタッフや家事手伝い人と、極く近い人たちによる犯行であろう事が想像される。

しかし、彼らは単に誰かに命令されただけの人たちであり、実行犯ではあるが計画した立場にはないだろう。つまり、誰かが彼らに対して、盗聴装置の据え付けを命じているのだ。

考えられるのは、エルドアン政権が徹底的に潰しにかかって、ほぼ成功したエルゲネコンのメンバーということになろう。多分、今回の犯行の裏には、助言はしても、外国の機関が情報入手のために直接やったとは考えにくい。

多分に国内の権力闘争の一部であろうと思われるが、ある筋によると、今回の盗聴装置を据え付けたのは、エルゲネコンだということのようだ。これでエルゲネコンは相当量のエルドアン首相の秘密情報を入手しており、何時でもそれを公開でき、エルドアン体制打倒が、可能だといわれている。

なかでも、一番エルドアン首相にとって致命的なのは、彼と彼の家族の金銭に絡むスキャンダル情報であろう。そのことは与党AKP幹部の間では、誰もが知っていることだったが、これまで党の利益のために伏せられていた、という経緯があるようだ。

困ったことは、スキャンダルのなかには金銭問題ばかりではなく、女性に関するものもあろう。そうなるとエルドアン首相は潔く首相職を辞任するか、あくまでも強気で権力の一極集中を進めるか、いずれかではないか。

最近になって彼が首相職を辞めた後、権限のある大統領になりたいと望んでいたのは、実はこれが原因であったかもしれない。全権を掌中にすればエルドアン首相はスキャンダルから、逃れられると考えていたのであろうか。

どうやらエルドアン首相の政治家生命は、終わりの時に近づいているようだ。傷だらけスキャンダルまみれの辞任は、エルドアン首相にとって極めて不名誉なものであろう。しかしそれは身から出た錆以外の、何物でもあるまい。