気になる情報がある。それはシリア内戦で集まったイスラム原理主義者たちが、次なるターゲット国を狙い始めているというものだ。それは、当面はシリアの隣国であるヨルダンであり、イスラエルということのようだ。
この疑惑が情報関係者の間で話題になり始めたのは、2カ月ほど前にヨルダンの情報機関員が、サラフィスト11人を逮捕して取り調べたところ、彼らはヨルダンのショッピング・センターと外国大使館への襲撃を、計画していたということが分ったのだ。
シリアの現状は、シリアのアサド体制対反体制シリア人の戦闘ではなく、外国から集まったイスラム原理主義者たちと、反シリア政府が一方に位置し、対局にシリア政府軍が位置する、という関係になっている。
問題は反シリア側を支援しているとされる、世界から集まったイスラム原理主義者たちが、反政府派の指揮席官の指示のもとに、動いているのではないということだ。乱暴な言い方が許されるのであれば、彼らは独自の目的を持ち、行動しているということだ。
シリアの反政府派各派は、やっとカタールの会議を通じて、統一戦線のようなものを結成したことになっているが、それは極めて結束の緩いものであり、いつ再分裂するか分からないのではないか。
加えて、シリアのクルド組織は反政府との連携が解消されただけではなく、反政府派の攻撃のターゲットになりつつある。つまり、外人部隊、2~3あるいはそれ以上のシリア各派、そしてシリア・クルド組織がそれぞれの立場で、勝手に行動しているということだ。
そうなると、外国から集まってきたサラフィスト、あるいはイスラム原理主義ジハーデストたちは、勝手な行動をとりやすい環境が、シリア国内には出来上がっているということであろう。
彼らは難民のシリアからの流出もあり、比較的簡単に周辺諸国のトルコやレバノン、ヨルダンに出入りしているということであろう。そのジハーデストたちが今後、ヨルダンやイスラエルをターゲットに絞って、攻撃を始めたとき、これまでこの地域で眠っていた不満分子も、一緒になって行動を起こす危険性があろう。
ヨルダンではイスラム原理主義各派、そしてヨルダン川西岸地区ではパレスチナ内部の、強硬派との連携が成立しえよう。
そうしたジハーデストの活動を利用し、自国の国益に活用しようとする国もこの地域にはあるだろう。それはまるでロシアン・ルーレットのように、突前味方が敵に回る可能性を否定できない、極めて危険な火遊びではないのか。