『シリアが化学兵器を使用する危険は本当か?』

2012年12月 7日

 アメリカやイスラエルの政府が、シリアの化学兵器の危険性を言い始めている。サリン・ガス兵器が中心になっているが、それ以外にも化学兵器があるというのだ。

 この情報を裏付けるかのように、イスラエルからはシリアが化学兵器の原料を、混合し始めており、間もなく使える状態になると警告情報が出されている。しかし、この情報は本当であろうか。

 イラクに対するアメリカの攻撃の前には、イラクにはWMD(大量破壊兵器)が存在すると声高に言われ、結果的に国際社会は、アメリカによるイラクへの攻撃を、認めた形になった。

 戦争が終わり、アメリカと西側の結成した調査隊が、イラク各地を探し回ったのだが、結果的にWMDに関係した物は何も、出来てこなかった。つまり、戦争の前に流された情報は、計算されつくして造られた、嘘の情報だったということだ。

 もちろん、アメリカや、同国を強く支援したイギリス政府は、初めからそのことを分っていたのであろう。それにもかかわらず、偽情報で世界の世論を固め、イラク攻撃を実施したのだ。

 今回もシリア政府が窮地に立ったために、虎の子の化学兵器に頼る、という話だ。話としては信憑性があろう。アサド体制は体制の維持に真剣であり、一時的に国際世論を敵に回しても、問題ないと判断するだろうというものだ。

 こういう問題を判断する場合、自分ならどう考えるかということが、大事であろう。アサド大統領は誰に対して、化学兵器を使うのか?反体制派の戦闘員が対象であろうが、実際には民間人を巻き込むことになり、非難は相当のレベルに達しよう。

 ではイスラエルに対して使うのかというと、現段階ではイスラエルとは戦闘状態に無いのでありえない。トルコに対してもそこまでは出来ないだろう。そうなると化学兵器使用の危険性は、シリアの敵側が造った話、ということであろう。

 WMD(大量破壊兵器)に対する戦いは、人道の為の闘いになる。その嘘話を日本を含む西側諸国が、信じたように装い、アメリカにシリアを攻撃させる、というのであろうか。

 シリア政府がこのアメリカが仕掛けた嘘話を、否定したのは当然のことだ。イランの核兵器製造もしかりであろう。大声で繰り返して言うと、嘘も本当のように聞こえてくる。冷静に考えればそれが嘘だということが分るのに。