12月8日パレスチナのガザ地区で、ガザ戦争勝利記念集会が行われた。この集会には45年間パレスチナの地を離れていた、ハマースのリーダであるハーリド・ミシャアル氏が参加した。
ハーリド・ミシャアル氏はヨルダン川西岸地区の出身だが、ガザ地区を含めて、パレスチナの地を踏んだのは45年ぶりのことだった。それだけに彼は感無量であったろう。
何万人ものガザ住民を前に、彼は熱弁をふるった。なかなか迫力のあるものだった。その演説の中で彼が訴えたことは、ガザ戦争での勝利であり、この戦争でテルアビブ市も、パレスチナ側の攻撃のターゲットになった、ということだった。
そして、彼が訴えたのは『全パレスチナの解放』であった。『ミンハナルイラーバハル=ヨルダン川から地中海まで』『ミンシマールイラージュウヌーブ=北から南まで』全てが、我々パレスチナ人の土地だと訴えた。
これは明らかにイスラエルに対する、挑戦の言葉だ。そこには何の妥協も無い『1インチも妥協しない。』とも彼は語っている。この発言は『イスラエルとパレスチナ2国家が設立されることによる、パレスチナ問題の解決。』はありえないということだ。
ハーリド・ミシャアル氏はパレスチナ自治政府に対しても、挑戦の発言をしている。彼は『パレスチナの土地の奪還が先であり、国家の設立はその後だ。』と明確に語った。つまり、マハムード・アッバース議長が進めた、国連におけるオブザーバー国家としての承認獲得は、何の意味も無いということだ。
ハーリド・ミシャル氏は土地の奪還は、あくまでも武力闘争によって、達成が可能なのだと語り、武力闘争を継続することを、宣言したのだ。
今回のハーリド・ミシャアル氏のガザ訪問は。11月に起こったガザ戦争を機に、ハマースの存在がパレスチナ内部でも、アラブ世界でも国際的にも、高まったことを強化するための、ものであったといえよう。
このハーリド・ミシャアル氏の挑戦状を、イスラエルやパレスチナ自治政府はどう受け止め、どう切り返すのであろうか。国連におけるオブザーバー国家承認については、PLOのベテラン幹部ファルーク・カドウミ氏、何の意味も無いものだ、と否定していた。それは多くのパレスチナ人の認識であろう。
国連におけるオブザーバー国家承認は、一瞬の目くらましであり、イスラエルとの妥協路線を進める、マハムード・アッバース議長の瞬間芸でしかあるまい。それは時間が経てば経つほど、危険な爆発を生む原因になるのではないか。