先月以来から野党の著名な3氏が、モルシー大統領政府に対し、反旗を翻している。彼らは連帯組織を立ち上げ、エジプト救済組織と命名している。そのためエジプト各地で、このエジプト救済組織とムスリム同胞団のメンバーが、衝突し死傷者が出ている状態だ。
モルシー大統領はその混乱を、解決したいという意図からであろうか。エジプト救済組織幹部3氏を、取調べするよう指示している。IAEAのも元事務局長であったムハンマド・エルバラダイ氏、元アラブ連盟事務総長だったアムルムーサ氏、そしてナセリストの議長ハムデーン・サッバーヒ氏がその人たちだ。
エジプトの検察は大統領の命令に従って、動き出してはいるが、多くの検事や判事が、モルシー大統領の決定に不満を抱き、辞任しているのも事実だ。
先に行われた、モルシー大統領が強行突破を図った新憲法の国民投票では、32パーセント程度の国民が投票に参加し、そのうちの62パーセント程度が、賛成票を投じている。
つまり、国民投票で新憲法に賛成票を投票したのは、有権者のうちの18パーセント程度でしかなかったということだ。
ムスリム同胞団は何故こうも強硬に、新システムを導入しようと考えているのであろうか。昨日も報告したように、エジプト財政は大赤字で、国家公務員に対し給料が、支払えない状態にさえ陥っている。
どうも現在外国に駐在しているエジプト大使たちが、ムスリム同胞団の政権に反発し、外国からの経済援助や支援、投資に反対の動きをしていることが、その一因のようだ。
このため、モルシー大統領は大幅な内閣改造を、来週にも実行するつもりのようだ。その段階では、多くのムバーラク派の大臣が外されるとともに、在外大使の多くも、入れ替えられる可能性がある、ということであろう。
ムスリム同胞団幹部の間では、外国に援助を求めることよりも、エジプト自身の力で経済苦境から、脱出しなければならないと考えているようなので、これから大鉈が振られるということであろう。
もし、このムスリム同胞団の方針が成功すれば、エジプトはバクシーシと賄賂の国から、清潔な国家に生まれ変わるかもしれない。モルシー政権と野党との闘いは、一面においてエジプト再生のための、闘いかもしれない。しかし、それは容易ではあるまい。ナイルの川底にたまったヘドロを取り去るような、大工事になることが必定だからだ。