『カタールはイスラエルから敵国とみなされた』

2012年11月30日

カタールが積極的にシリアの内戦に加担してきたことは、既に公知の事実だ。武器や資金を反政府派に送っており、それがシリアの内戦をより激しいものにしている。最近では、カタールが提供したと思われる地対空ミサイルで、シリア空軍のヘリや尖頭器が、撃墜されていることが話題になり始めている。

シリアを混乱に陥れているのだから、カタールはイスラエルから感謝されてもよさそうなものだが、どうもそうではないらしい。イスラエルの外交官が『カタールは敵国だ。』と言い始めたのだ。

このイスラエル外交官の語るところによれば、カタールのシェイク・ハマド・ビン・カリーファ・アールサーニ首長がガザを訪問したことは、ガザのハマースを勇気づけるものだからだ、ということのようだ。

カタールはイスラエル側によって、攻撃を受け破壊されたガザの再建に、資金を提供することも、明らかにしているが、これではガザのハマースは、なかなかイスラエルの攻撃を受けた損失を、正しく評価できないだろう。

加えて、イスラエルにとって不愉快なカタールの行動は、イランとの関係を改善しつつある、ということであろう。イスラエルはイランが核兵器を開発していると非難し、イランを明日にでも攻撃したい気持ちになっているときに、カタールがイランに手助けすするような、行動に出ることは許せまい。

イスラエルとカタールとの関係は、1996年以来貿易関係が成立しており、これまで何度か開催された、カタールの地域会議には、イスラエルが招待されたこともあった。いわば、最もイスラエル対応で、進歩的な立場あったのが、カタールだった。

カタールはなぜいま、こうした関係諸国の首をひねらせるような行動に、出ているのであろうか。一言でいえば巨額な金を手にしたカタールの首長は、自分の力がどれほどあるのかを、試してみたいのではないか。

なかでも、アラブの盟主と言われるエジプトや、イスラムの指導国と言われる、サウジアラビアに挑戦してみたい、という気持ちが強いのかもしれない。

しかし、巨大なアメリカ軍基地があり、安全だと思っているカタールも、イスラエルを敵に回せば、極めて危険な状況に陥る可能性が、あるのではないのか。