『オバマ大統領はモルシー大統領を高く評価』

2012年11月27日

 エジプトの各地では、モルシー大統領の発した、大統領大権とでも言うべき新法の発布に対し、独裁的だと非難する世俗派や、野党の人士が大衆を巻き込んで、大きな社会的うねりを、造りつつある。

このような混乱状況を、欧米はどう見ているのであろうか。なかでも、アメリカがどう見ているのか、ということが気になるが、それはエジプト国民も同じであろう、野党勢力はアメリカが彼らを支援するのか、モルシー政権を支援するのかで、エネルギーの量が全く変わることが、懸念されるからだ。

オバマ大統領はガザ戦争での、ハマースとイスラエルの停戦工作で、モルシー大統領が果たした役割を、高く評価しているということだ。モルシー大統領は何度かに渡って、オバマ大統領とこの問題を話し合い、結果的に、モルシー大統領は停戦実現に向けて、大きな役割を果たしている。

オバマ大統領はムバーラク大統領について、あまり高い評価をしていなかったようだ。それは、ムバーラク大統領が国民を代表していなかった、の一語に尽きよう。

しかし、モルシー大統領は選挙で過半数を獲得しており、その後の流れのなかでも、イスラムを重んじるエジプト国民の、厚い支持を受けている、と判断しているようだ。

モルシー大統領はかつて、アメリカで働いていた時期があり、そこで生まれた彼の子息は、アメリカ国籍を取得し、アメリカ国民になっていることも、オバマ大統領をしてモルシー大統領に対し、親しい感覚を持たせているのであろう。

オバマ大統領は再選されて、これから4年間、アメリカの大統領職に留まるわけだが、モルシー大統領を、中東における彼のパートナー、と決めたのかもしれない。

アラブとイスラエルとの和平問題で、モルシー大統領が有効な仲介者としての役割を、果たしてくれることを期待しているのであろう。彼の所属するムスリム同胞団は、今日に至ってなお、キャンプ・デービッド合意を遵守しているし、ガザ問題でも仲介と調停役割を、果たしてくれると期待しているようだ。

以前、オバマ大統領やヒラリー国務長官と親しい、ある外国の友人と話した時、『アメリカはムスリム同胞団に学習の時間を与えるだろう。温かく成長を見守るだろう。』と語っていた。最近のアメリカとエジプトの流れは、まさに彼が語った通りのようだ。