株価はその国の経済状態がいいか悪いかの、簡単な目安であろう。株価が上昇傾向にあれば、世界中の金持ちがその国の株を買い、下げがひどければ売り逃げる、というのが普通であろう。
11月25日にエジプトの株価は、金額にして46・8億ドル下げた。それは9・5パーセントに当たるということだ。
株価が暴落した理由は、モルシー大統領の大統領大権発表によるものだった。エジプト国内の投資家たちも、外国の投資家たちも、このモルシー大統領の独裁的とも呼べる、決定を嫌ったのであろう。
問題はこの株の大暴落した状態が、もし今後も続くのであれば、外国からエジプトに流入しているホット・マネーは一気に逃げ出すことになろう。そうなると、そうでなくとも少ない外貨準備が底をつき、エジプトは未曽有の経済困難に、直面することになろう。
エジプトはモルシー大統領やシャーテル氏(ムスリム同胞団の実質ナンバー・ワン)が、湾岸諸国を回り資金援助を申し込んだが、しかるべき成果を挙げていない。それは当然のことであろう、湾岸諸国はカタールを除き、エジプトのムスリム同胞団の動きを、警戒しているのだから。
チュニジアのナハダ党は、ムスリム同胞団の系列の団体であり、リビアの政治集団の中に占める、ムスリム同胞団の力は侮れない。エジプトではムバーラク体制が倒された後、権力を掌握したのはムスリム同胞団だ。
加えて、現在大混乱に陥っているシリアのなかで、最も力の強い組織は、ムスリム同胞団なのだ。また、不安定化が進んでいるヨルダンでも、反体制勢力の筆頭組織は、ムスリム同胞団なのだ。
モルシー大統領の権力掌握をめぐる決定が、エジプトの株式市場を混乱させ、株価の大暴落を生み出してしまった。結果的に株式市場に集まっていた資金は、投資家の懐に戻るか、あるいは外国に逃避することになろう。
そうなれば、体制はおのずから経済苦を主因とし、窮地に追い込まれていくことになろう。