ガザ戦争の処理で、アメリカのオバマ大統領と協力し、早期の停戦にこぎつけることに成功した、エジプトのモルシー大統領は自分の政治力に、自信を持ったのであろうか。
先に更迭を言い渡した、検察のトップ、アブドルマギ-ド・マハムード検事長の更迭を再度言い渡した。最初の更迭劇では、アブドルマギード・マハムード検察長が、更迭を拒否して居座ったために、実現できなかった。
今回は更迭を言い渡すとともに、後任にタラアト・イブラヒム・アブドッラー検事を、後任の検事長に任命した。
モルシー大統領はこのことに加え、大統領が発出する決定は、何者によっても覆されないし、同様に諮問会議の決定も、何者によっても覆す事はできない。殺人者や傷害者に対する裁判は、やり直すとも宣言している。
つまり、誰もモルシー大統領の決定に逆らえないということだ。当然の事ながら、このモルシー大統領の決定に対し、野党側の人士は批判を始めた。例えば、IAEA事務局長だったエルバラダイ氏は『モルシーは全ての国家権力を掌中に収め、新ファラオ(エジプト古代の王様)になった。』と非難している。
サウト紙の編集長であるアブドルハリーム・カンデール氏は『モルシー氏は選挙で大統領に就任したが、今では王様になったつもりでいる。これは革命に対するクーデターだ。』と非難している。
革命活動家のシャデイ・ガザーリ氏は『モルシー氏は全てのエジプト人の大統領になるといったが、現状ではムスリム同胞団の大統領というのが事実だ。』と非難している。こうしたことから、世俗派やクリスチャンの間には、モルシー大統領に対する不信と反発が広がり、カイロの解放広場で数千人が、反対デモを行ってもいる。
モルシー大統領は何故、こうも強気になったのであろうか。それはガザ戦争を停戦に持ち込むことに、成功したためではないかというのが、おおよその推測のようだ。モルシー大統領はアメリカのオバマ大統領と、何度となく電話会談を繰り返し、最終的に停戦にこぎつけることに、成功したからだ。
モルシー大統領の豪腕ともいえる動きについては、あくまでも新憲法が成立するまでの、臨時的な動きであり、決してこのままで行くわけではない、という説明もなされている。
善意に取れば、モルシー大統領は混乱状態にある革命後のエジプトを、一日も早く正常な状態に、したいということであろうか。(この文章はエジプト各紙の要点を、整理したものだ。)