『イスラエルとハマースの停戦は極めて不安定』

2012年11月23日


イスラエルとハマースの停戦は、エジプトの努力でどうにか成立したようだ。しかし、それはハマースを始めとした、パレスチナ各組織がイスラエルに対し、攻撃を加えないということが、絶対的な条件になっている。

既に、イスラエルのバラク国防相は、もしガザからの攻撃があれば、徹底的にガザ地区を攻撃すると語っている。それはほぼ事実であろう。何万人もの予備役を招集し、ガザとのボーダーに、大量のイスラエル軍を配置しているイスラエル側が、ガザ地区から攻撃されることになれば、放置できないだろう。

今回のガザ地区からのミサイル攻撃は、イスラエル南部のアシュケロンやアシュドッドだけではなく、イスラエル最大の人口集中都市であるテルアビブや、首都エルサレムの郊外にまで、達しているのだ。

加えて、テルアビブでは時限爆弾が、公共用のバスにセットされ、多くの乗客が重軽傷を負ってもいる。この爆弾攻撃について、ハマース側は自分たちの犯行ではないと言っているが、それは事実であろう。これはイスラエル国民になっている、パレスチナ人による犯行ではないかと思われる。

そうであるとすれば、イスラエル側はガザ地区から再攻撃された場合、空爆に加え、陸上戦闘員を使って徹底的に攻撃するだろう。そうでなければ、イスラエル国民は安心して眠ることが出来なくなり、国民全体がノイローゼ状態に、陥ってしまうからだ。

こうしたことばかりではなく、ある新たな計画がある、と中東では言われている。それはイスラエルがガザ地区の住民のほとんどを、シナイ半島に追放し、その管理をエジプト側に任せて、イスラエルは安全を確保しよう、と考えているというのだ。

この計画が事実か否かは別にして、イスラエルが今回の戦闘で、ガザ地区に与えた被害は、相当のものであろうが、それだけでは気が済むまい。イスラエル側にも5人の死者が出ているし、負傷者も多数出ているのだ。

そう考えると、現在中東で語られている、ガザ地区住民のシナイ半島への追放計画は、真実味を帯びているのではないか。今回の戦闘後の停戦で、イスラエルは国際社会の意見を、素直に聞き入れた形になり、その後にガザ地区から攻撃があれば、停戦違反であるとして、徹底的に叩くということなのかもしれない。

今回の停戦は、つかの間の停戦であり、実は第二攻撃への口実造りであったのかもしれない。イスラエル国民は今回のパレスチナ側の攻撃で、精神的に相当ダメージを、受けているのではないかと思われる。