ガザからパレスチナ人イスラム現地主義者が放った、ロケット攻撃に対する報復として、イスラエルのネタニヤフ政府は、強硬な対応を選択した。それが7日間にも及ぶ、ガザへの空爆攻撃だった。
結果的に女子供をも含む、100人以上のパレスチナ人が、犠牲となっている。その惨状は目も当てられないばかりであり、当然の帰結として、世界中の人たちはパレスチナ人に同情し、イスラエルに対しては非人道的だ、と非難の声を高めている。
しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、世界がイスラエルの報復攻撃を、支持していると強弁している。アメリカのオバマ大統領を始め、世界各国の政府はイスラエルに対し、国を守る権利があることを認める、とは言っているが、そのために、過剰な攻撃をガザに加えることについては、必ずしも賛成しているわけではないのだ。
政府ではなく個人レベルとなると、大半の人たちはイスラエル攻撃を非難しているし、そうしたイスラエルの非人道的な攻撃に、激怒した多くの人たちが、イスラエル政府の各機関に対し、ハッカー攻撃を仕掛けている。
今回のガザ側からのミサイルやロケットによる攻撃で、見逃してならない点は、発射された何発かのミサイルが、テルアビブ市にまで届いているということだ。述べるまでもなく、テルアビブはイスラエル最大の都市であり、多くの住民がそこでは暮らしている。
イスラエルの南部の都市、アシュケロンやアシュドッド市に、パレスチナ側がガザから放ったロケット弾が、到達することはこれまでにもあったが、テルアビブにまで到達したのは、今回が初めてであろう。それだけに、イスラエル政府と国民の不安は、相当なレベルに達していると思われる。
イスラエルにとってショックだったのは、ミサイルが到達したことだけではない。イスラエルが鉄壁の防衛システムと呼んできた、アイアン・ドーム(鉄のドーム=迎撃ミサイルシステム)が完全ではなかったということだ。だから、ガザからのミサイルが、イスラエルの各地で、死傷者を出すに至っているのだ。
いまイスラエル国民と政府はある意味で強い不安の渦に、巻き込まれていることであろう。その渦から抜け出すためには、ガザに対する徹底的な攻撃を加えるということであろうが、それはイスラエルが世界のなかで、孤立することに繋がって行こう。
トルコのエルドアン首相は舌鋒鋭く『イスラエルはテロ国家だ。』と非難したが、第三世界の首脳のなかには、エルドアン首相と似たような考えを持つ人たちが、多いのではないか。加えて先進諸国のなかにも、イスラエルの過剰反応に対し、冷ややかな受け止め方をしている首脳が多かろう。
イスラエルの攻撃がこれ以上続くことは、自殺行為だということだ。イスラエル内閣内部では、停戦を模索し始めているというニュースもある。イスラエルは早急に、停戦すべきであろう。